家族で手をつないでいる紙

最初はちょっとしたもの忘れですが、やがて進行すると予定を忘れたり、友人の名前がわからなくなったりしてしまう「若年性アルツハイマー」。

今回は若くして起こりうるこの病気の初期症状や進行段階、予防法などについてご紹介します。 


   


若年性アルツハイマーの8つの初期症状


1)若年性アルツハイマーとは何か 

(1)若年性認知症 

「認知症は高齢者の病気」。こんな誤解をしている人は多いのではないでしょうか。実は働き盛りの年代でも認知症になることがあります。

それが最近よく聞く「若年性認知症」であり、65歳未満で発症したものをこう呼びます。

そしてその若年性認知症は、原因が掴めているものと掴めていないものに分けられ、掴めているものとしては、「血管性認知症」が代表的なものです(全体の約40%)。

原因が掴めていないものとして「アルツハイマー型認知症」が代表的なもので、「若年性アルツハイマー」の患者数は、全国で10万人前後いるといわれています(全体の約25%)。

(2)アルツハイマーの特徴 

アルツハイマー病は、認知症の一般的な原因となる病気であり、記憶や思考能力がゆっくりと害されて、最終的には日常生活における極めて単純な作業さえできなくなってしまう不可逆的な進行性の脳疾患です。 

このアルツハイマー型認知症は、そもそも若年性の病気であり、その年代では起こらない病変が脳に起きてしまうもので、若いだけに脳の萎縮スピードも速く、家族にもそして社会的にも大きな影響を与えるものです。 


2)若年性アルツハイマーの8つの初期症状

若年性アルツハイマーの原因と症状は、通常のアルツハイマーと同じで、βアミロイドによる老人斑、脳の萎縮であり、女性に多く見られます。

その初期的な症状としては以下のようなものが挙げられます。 

(1)日付や曜日、季節などが思い出せなくなる。

(2)ゲームのルールや通い慣れた場所へ行くことが困難になる。 

(3)今いる場所にどうやって来たのかがわからなくなる。 

(4)距離感が掴めずぶつかることが多くなる。 

(5)同じ話を繰り返したり、言葉が見つかりにくくなる。 

(6)ものを置き忘れ、それを探すことができなくなる。 

(7)好きだったものに興味を失ったり、途中で辞めてしまったりする。 

(8)疑い深くなったり、イライラしたりする。 これらの症状のほか、初期段階では頭痛やめまい、不眠などの症状が現れるときもあります。

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3)若年性アルツハイマーの3段階の進行

アルツハイマー型認知症の進行は、以下の3段階に分けられます。 

(1)初期 

忘れていることを忘れるのが特徴的です。食べた食事内容を忘れているのではなく、食べたこと自体を忘れているといった症状が認められます。 

(2)中期 

だんだん現在と過去の判別ができなくなります。近い時期の記憶から失われていき、過去の記憶は比較的残っています。

この段階で起きる症状として代表的なものが「徘徊」です。また、尿意などがわからなくなり、失禁などが目立ってきます。 

(3)後期 

脳萎縮が進行し、言葉の意味がわからなくなり、やがて話が通じなくなります。食事に集中できず介助が必要となります。

歩行は徐々に困難となってやがて寝たきりとなり、上下肢の関節が拘縮、嚥下障害なども起こりやすくなります。 


4)若年性アルツハイマーの3つの予兆

若年性アルツハイマーを発症した人の病理学的な特徴としては、大脳皮質の萎縮や神経細胞の脱落、老人斑の著しい増加などが挙げられ、これらの脳の変化は実際の認知症状と合わせてアルツハイマーの診断に使われるものです。 

しかし、患者の脳にこのような明確な変化が現れる前の段階で将来のアルツハイマーの予兆であるかも知れない共通の症状がいくつかあることが最近明らかとなっています。

(1)嗅覚の異変 

アルツハイマーの病変が最初に現れるのは、「嗅覚」をつかさどる領域だといわれています。ある調査の結果では、嗅覚機能が低下するほど認知力が悪化する危険性が高いことがわかっています。

嗅覚のテストで平均以下の成績だった人は平均以上だった人に比べて、約50%認知力が悪化する割合が高いという結果が出ています。 

(2)急激な体重の減少 

アルツハイマーによる認知障害は摂食障害などにもつながりやすく、体重は減る傾向にあると考えられていますが、認知障害が顕在化するかなり前から原因不明の体重減少があることが報告されています。 

(3)睡眠障害 

アルツハイマーの人には、認知症状が現れる前から睡眠障害がある例が認められており、この睡眠障害が老人斑の原因であるβアミロイドの蓄積に関わっていることが次第に明らかとなっています。 

なお、上記3つの予兆とアルツハイマーとの因果関係は、まだはっきりと解明されているわけではなく、これらの症状が認められるからといって将来必ずアルツハイマーになるというものではないということに留意する必要があります。 


5)若年性アルツハイマーの予防方法とは 

若年性アルツハイマーは、まだはっきりとした原因が解明されておらず、また、遺伝的な要素もあるといわれていますが、下記の予防策を講じることでその発症の予防に効果を発揮すると考えられています。 

(1)食生活の見直し

栄養に偏りのないバランスの良い食事を心がける。塩分や動物性脂肪を控え、イワシや鯖などの青魚に含まれるDHAやEPAなどを積極的に摂取する。 

(2)適度な運動

適度に負荷がかかる運動を継続的に実施し、意識して有酸素運動を取り込む。 

(3)生活習慣の見直し

規則正しい生活を心がけるとともに、禁煙に徹し、過度な飲酒はしない。20~30分程度の昼寝や読書などを積極的に習慣づける。 


   


今回のまとめ 

1)若年性アルツハイマーは若年性認知症の一つで、その患者数は全国で10万人前後いるといわれている。 

2)若年性アルツハイマーの初期症状としては、時間や場所がわからなくなることや、言葉が出にくくなること、疑い深くなったりイライラしたりすることなどが挙げられる。 

3)アルツハイマー型認知症は、「忘れていることを忘れる」(初期)、「現在と過去の判別ができない」「失禁などが目立ってくる」(中期)、「言葉の意味がわからない」「嚥下障害などが起こる」(後期)の3段階にわけられる。 

4)若年性アルツハイマーの予兆としては、「嗅覚の異変」、「急激な体重の減少」、「睡眠障害」の3つの関わりがあるといわれている。 

5)若年性アルツハイマーの予防は、「食生活の見直し」、「適度な運動」、「生活習慣の見直し」の3つが重要である。