カルテに記入をしている男性医師

アレルギーやウイルス感染によって顔面神経麻痺が生じる可能性があることはご存知でしょうか。近年この症状に苦労される方も増えてきています。

今回は顔面神経麻痺の、症状・原因・検査法・治療法、そして予防のポイントまでお伝えをしていきます。


   


顔面神経麻痺の6つの症状!4種類の検査法とは


1)顔面神経麻痺とはどんな病気か

(1)脳の中枢から顔の表情筋に繋がる神経

顔面神経麻痺とは、どのような病気でしょうか。顔の運動機能は、顔面神経による行われています。顔面神経は、脳の中枢から耳の骨の中を通過し、顔の表情筋に繋がっています。

その顔面神経が何らかの原因により正常に動かなくなる病気のことです。

(2)顔面痙攣(けいれん)・顔面神経痛と異なる

顔面神経麻痺は、顔面けいれん、顔面神経痛と混同されることがあります。顔面けいれんとは、神経が異常な興奮状態となっておこるもので、顔の神経を血管を圧迫しておこるものです。

もう一つの顔面神経痛とは、三叉神経という感覚機能を司る神経が関係するもので医学的には三叉神経痛と言います。


2)顔面神経麻痺の6つの主な症状

(1)ほとんどの場合片側に麻痺

顔面神経麻痺の症状としては、多くの場合顔の片側に発生し、まれに両側に麻痺が起こることがあります。

(2)目が閉じにくい

(3)食事中に食べ物が口からこぼれる

(4)下の味覚異常

(5)口と目など複数の部位が同時に麻痺

(6)前兆がある

麻痺が起こる前触れがあることもあります。

味覚がおかしくなる、耳の後ろが重く感じる、顔の一部がぴくぴくと麻痺するなどが起こることがあり、このような状態の異常を感じたら様子をよく見て顔面神経麻痺が起これば専門医師の診断を受けるようにしなければなりません。


3)顔面神経麻痺の2つの原因

顔面神経麻痺の原因には、多くのものがあります。しかし大きく分けると、抹消の神経が障害となるものと中枢の神経が障害となるものがあります。

抹消の障害によるものでハント症候群とベル麻痺とが多くみられて全体の70%程度を占めています。原因として次のような事が考えられます。

(1)ベル麻痺

まずベル麻痺ですが過去に感染した「単純ヘルペス(特)型ウイルス」が再び活性化して発症すると考えられています。このウィルスはほとんどの人が感染します。

幼児期に口内炎や舌にできる水泡など発症し、そのあと治癒したが体内に潜んでいる場合があります。

しかしこれがすべての原因であると解明されたわけではありません。原因がわからない場合も多くあり、原因が判明しない顔面神経麻痺についてベル麻痺としています。

(2)ハント障害

次にハント症候群と言われるものがあります。これはベル麻痺と同様に以前感染したウィルスによって引き起こされるもので、水痘帯状疱疹(すいとうたいほうじょうほうしん)ウィルスというものが再度活性化することによっておこります。

このウィルスは水疱瘡をおこすウィルスです。

男性ドクター


4)顔面神経麻痺の4つの検査法

顔面神経麻痺かと思ったら、先ずは「耳鼻科」へ検査へ行きましょう。もしくは「脳神経内科」で脳血管に異常が無いか、CTやMRIの検査を行う事も視野に入れましょう。

顔面神経麻痺の治療は、まず原因となる病気を絞り込む検査を行う必要があります。検査方法としては、様々な検査があります。

(1)40点検査法(柳原法)

麻痺の程度を測る40点法(柳原法)というものがあります。10項目を3段階で評価し点数付けすることに麻痺の程度を知ります。

(2)血液検査

血液検査を行いウィルス感染の有無を判定します。

(3)アブミ骨筋反射検査  

大きな音を聞かせて鼓膜の動きを観察するアブミ骨筋反射検査

(4)聴力検査

めまいや難聴の有無を調べる聴力検査

このような検査を行うことにより麻痺の程度を知り、予後の予測を知ることができ、患者が治癒するまでの目安となる期間も知ることができます。これらの検査を行い具体的な治療に入っていきます。


5)顔面神経麻痺の2種類の治療方法

顔面神経麻痺は、早期発見および早期治療を行えば、数週間で治癒に至る場合があります。

(1)薬物治療

基本的な治癒方法をしては、薬物による治療となります。

実際に治療を開始してから薬の効き目がでてきて炎症が治まってくるまでに時間がかかるときもあるため、投薬後数日間は、炎症が治まらず悪化する場合もありますが、治療を続けていくうちに症状は、改善されて行きます。

投薬する薬には、ステロイド薬、抗ウィルス薬があります。しかし、先に述べましたように早期治療ができず炎症が大きく広がってからでは、効果が出にくくなります。発症してから5日から1週間までに薬で治療を開始することが重要となります。

(2)外科的治療

薬物療法以外の治療としては、外科的な治療をおこなう場合もあります。外科的な治療法として「顔面神経減荷術」「ボトックス注射」などが挙げられます。

顔面神経減荷術

神経周囲の骨を削り除去することで圧迫から逃れ血流を改善していく手術です。神経の変性をくいとめて顔面神経麻痺を治療します。

ボトックス注射

発症から一年以上経ってから行う手術です。ボトックス(ボツリヌス毒素)を顔面の筋肉に注射することで、表情筋を一時的に麻痺させ、のちにリハビリテーションを行う方法があります。

ボトックス注射の効果は3~4ヶ月間持続すると考えられています。病的共同運動や顔面拘縮は再発するため、多くの場合は再注射が必要になります。

※前述のように顔面神経麻痺は最初の2週間が重要となり、その期間に費用が発生します。入院する場合と通院する場合がありますが、通院する場合で薬代を含めて2万円程度で収まるようです。

なおほとんどの治療については、健康保険は適応されるので心配は不要です。また万一高額な治療費となった場合(8万円/月以上)でも高額医療の補助制度もあります。早期発見早期治療に努めることが重要です。

検査中の女性ドクター


6)顔面神経麻痺の4つの主な後遺症とは

顔面神経麻痺は、40点法で36点以上となれば完治したとされます。なお発症後6カ月以上経っても完治とならない場合は、後遺症に気をつける必要があります。

主な後遺症としては下記の4つが考えられます。

(1)病的共同運動

病的共同運動といい発生する可能性が高い後遺症です。どのようかものか言うと、目をつぶると口が閉まるなどです。麻痺が回復するために神経が再構成されるときに誤って構成されたときに発生するものです。

(2)拘縮(こうしゅく)

顔の筋肉が強張ってりひきつるような症状

(3)ワニの涙

その他に食事をすると麻痺している側から涙が出てくる症状。

唾液腺の神経と涙腺の神経が誤って認識してしまうことによる現象です。「ワニの涙」とはワニは食べ物を食べるとよく涙が出るのでこう呼ばれています。

(4)アブミ骨筋性耳鳴

顔面の表情筋の繊細な動きによって、違和感のある耳鳴や一過性の難聴が生じる症状

一度使えなくなった神経が再生するのではなく、新しい神経が麻痺している部分に伸びて補うイメージです。そのためそれなりの期間は必要です。医師の指導によるリハビリを行い決して無理をしないことです。

また発症してから1年以上たっても後遺症が改善されない場合は、次にあげるような治療が行われることがあります。

近年進歩した形成外科技術を使って外科的な手術を行います。そのほか拘縮や病的共同運動に対して行われるもので、ボリツヌス毒素を皮下注射して筋肉の動きを弱めることがあります。


7)顔面神経麻痺の2つの予防ポイント

(1)生活習慣

顔面神経麻痺は特定の原因がはっきりとは存在していません。ですので、目に見えない心の面(ストレス)も大きく関係していると言えます。

だからといって、生活面・健康面を疎かにしてはその分再発の可能性も高まります。バランスのとれた栄養を摂取し、規則正しい睡眠習慣、生活習慣を取り入れることが大前提となります。

(2)ストレスの解消

上記の通り、心の面も非常に大きく関係していると考えられます。特に「人間関係」には気を配ってみましょう。普段生活をするうえで接する、職場・家庭・友人・恋人などの人間関係を今一度見直してみてはいかがでしょう。

自分が思っている以上に人との関わり合いの中のストレスというのは、良くも悪くも身体に多大なストレスを与えているものでしょう。本当に大切な人や、一緒にいて落ち着く人など、少しずつ人間関係を見直しながら、気持ちの良い毎日を過ごすことも、ストレスの解消にとても大きな影響を与えると考えられます。


   


今回のまとめ

1)顔面神経麻痺とはどんな病気か

2)顔面神経麻痺の6つの主な症状

3)顔面神経麻痺の2つの原因

4)顔面神経麻痺の4つの検査法

5)顔面神経麻痺の2種類の治療方法

6)顔面神経麻痺の4つの主な後遺症

7)顔面神経麻痺の2つの予防ポイント