カルテを確認し合う3人の医者

顔面神経麻痺は10万人に40人程度が発症すると言われる病気です。この病気には幾つかの原因が存在し、症状にも違いが発生していきます。

今回は顔面神経麻痺の4つの主な原因と、治療法、予防ポイントをお伝えします。


   


顔面神経麻痺の4つの原因!治療方法とは


1)顔面神経麻痺とはどんな病気か

顔面神経麻痺とは、顔面神経に支配されている顔面筋の運動の麻痺です。急性か亜急性に発症します。原因が明らかである症候性顔面麻痺と原因が不明な特発性顔面神経麻痺、即ち「ベル麻痺」に分けられます。

発症してから1年以内は亜急性顔面神経麻痺で、それ以降は陳旧性顔面神経麻痺という分け方もあります。


2)顔面神経麻痺の4つの症状とは

(1)顔の片側の麻痺

男女、年齢に関係なく、突然起こる片側の顔面筋の運動麻痺です。それが原因で、額にシワを寄せられない、目が閉じられない、口角が垂れ下がる、口笛が吹けなくなる、よだれが垂れやすい、などの症状が起きます。

(2)味覚障害

麻痺した方の舌の3分の2が味覚障害になるということです。状態としては、金属を口に入れたような感覚になることです。

(3)音が大きく聞こえる

麻痺した方の耳が過敏に反応するようになり、音が大きく聞こえるように感じることがあります。

(4)目が閉じにくい

目が閉じにくく、目を涙で潤すことができず、夜などに乾燥しやすくなります。そして、角膜に潰瘍ができる場合があります。


3)顔面神経麻痺の4つの原因とは

まず、顔面神経麻痺は中枢性顔面神経麻痺末梢性顔面神経麻痺大きく2つに分かれます。中枢性とは、脳と脊髄のことをいいます。

末梢性とは、脳と脊髄から木の枝や根のように出ている神経のことをいい、「ベル麻痺」、「ラムゼイ・ハント症候群」、「ギラン・バレー症候群」に分類されます。

(1)中枢性顔面神経麻痺

「中枢性顔面神経麻痺」は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によるものが原因とされます。顔面部以外にも片麻痺など四肢の神経症状を伴うことが多く、顔面部の特徴としては、飲み物が口からこぼれる、話が上手くできないなどが多くあります。

(2)ベル麻痺

「ベル麻痺」は、急性発症して原因が不明なものを呼び、最も多い発症です。ストレスや寒冷刺激による循環不全が原因と考えられています。

しかも、男女、年齢を問わず、季節も関係なく発症する症状です。特発性顔面神経麻痺の原因はいまだ不明ですが、考えられる可能性としては寒冷曝露、アレルギー、局所浮腫、ウィルス感染などがあります。

(3)ラムゼイ・ハント症候群

「ラムゼイ・ハント症候群」ですが、これは、帯状疱疹ウィルスの感染で耳痛を発症し、耳たぶや外耳道に水疱ができます。そして、聴神経が侵されると難聴になることもあります。

原因は、顔面神経膝神経節、前庭神経節、頸髄神経節などに感染していた水痘帯状疱疹ウィルスの再活性化で、肉体的・身体的ストレスや免疫力低下などにより、抵抗力が落ちることが原因と考えられています。

(4)ギラン・バレー症候群

「ギラン・バレー症候群」ですが、発症の1~3週間前に咳や発熱、咽頭痛、頭痛、下痢などの症状があることが多いので、各種ウィルスや細菌による感染が引き金となり、自己免疫的機序を介して発症する病気と考えられています。

神経細胞には長い枝の部分がありますが、この病気では主に長い枝のまわりを取り囲む髄鞘という部分に障害が出ます。髄鞘の障害には感染の結果できた自己抗体が関係すると考えられています。

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4)顔面神経麻痺の4つの治療法とは

平成27年現在においては、耳鼻科受診が大半を占めて来ています。しかし、過去には神経内科で治療する方法が多かったようです。中枢神経麻痺には脳外科が専門になります。その他年齢によっては小児科などでも担当します。

(1)薬物治療

副腎皮質ホルモン剤を発症後3~5日以内に投与します。その手段として、静脈点滴、内服薬があります。早期に治療が必要なのは変性が完成するのを防ぐためです。

それは、神経が損傷を受け回復可能な期間を過ぎると回復の速度が遅くなるのを防ぐためです。その他、末梢神経拡張薬・血流改善薬・ビタミン薬などが処方され、漢方薬治療の場合もあります。

費用は2000円程度ですが、処方の仕方や病院によって異なるので、電話で連絡をすることが大切です。

(2)顔面神経管減荷術

投薬による治療での回復が芳しくない場合、全身麻酔による手術が必要になってきます。

顔面神経管内で圧迫されている神経を開放する手術で、近年、日帰りや短期入院で手術を行う医師もいますが病院によっては10日程度の入院をするところもあります。

費用は、10万円から25万円になるようです。

(3)星状神経節ブロック(SGB)

自律神経には、交感・副交感神経があり交感神経の星状神経節を一時的にマヒさせることにより、血管を拡張させ、栄養・酸素を供給し治癒を促進します。

この処置は10回~多い方で50回位となります。保険適用なので、初診時には、初診料とブロック料金は3割負担の方で2000円程度になります。

(4)低周波電気治療法

この治療はマヒの進行が止まる1週間~2週間後位から開始します。電気の刺激により強制的に筋肉を動かし、血流を改善させます。費用は大体1,000円弱で受けられます。


5)顔面神経麻痺の2種類の予後とは

(1)中枢性顔面神経麻痺の予後

この症状は脳梗塞・脳内出血などの重篤な病気が考えられるので、CTやMRIの検査を行いすぐに専門医への受診が必要です。

入院した場合、症状が落ち着き退院してからリハビリ・鍼灸治療を始めれば良いようです。症状が軽い場合の予後は鍼灸の効果が期待できます。

(2)末梢性顔面神経麻痺の予後

治療を行わない場合でも、ベル麻痺の場合、良好な予後を得られやすいです。研究によると85%の患者で発症後3週間以内に回復する人が見られ、15%では3ヶ月~6ヶ月後に回復が始まりました。不全麻痺の場合、1ヶ月以内にマヒが完全に無くなりました。

しかし、完全麻痺では、2週間以内に改善が見られた患者は治ったが、3週間以降では多くの患者に後遺症が残りました。

他の研究では10歳以下の若い患者は予後がよく、61歳以上の患者は予後が相対的に悪いようです。治療には葛根湯や麻黄湯の漢方が処方され、鍼治療でリハビリをすることもある様です。


6)顔面神経麻痺の4つの予防ポイントとは

(1)マッサージ

動かなくなった筋肉をほぐして堅くなるのを防ぐため、筋肉に刺激を与えることによって萎縮することを防ぐために、手のひらや手の指先を使って顔面の皮膚と筋肉を数分マッサージします。

1日に数回し、あまり広い範囲を同時にしない方がいいでしょう。

(2)運動訓練

顔面の動きが戻り始めた時期から開始します。まばたきをする、目を軽く閉じる、額にしわを寄せる、目を大きく開くなどの運動を、鏡を見ながら行います。

軽くゆっくり顔を動かすことが大切です。強く目を閉じ、力一杯ほほをふくらませる事は良くありません。

(3)暖める

暖めたタオルを麻痺した側の顔にあてて血液循環をよくします。顔の筋肉の運動が無いと、筋肉の血流が悪くなります。お風呂に入ったときも麻痺した顔を暖めるようにします。

(4)日々に気をつけること

リハビリは、顔面全体を動かす刺激療法などはしません。目なら目だけ、口なら口だけをマッサージしたり動かしたりします。

顔面の動きが戻り始めたときには、しゃべる時、食事をするとき、目を大きく開くように気をつけて下さい。

目を閉じるときに意識して口を動かさないようにしましょう。目と口が無意識に一緒に動いてしまう後遺症を予防するためです。


   


今回のまとめ

1)顔面神経麻痺とはどんな病気か

2)顔面神経麻痺の4つの症状とは

3)顔面神経麻痺の4つの原因とは

4)顔面神経麻痺の4つの治療法とは

5)顔面神経麻痺の2種類の予後とは

6)顔面神経麻痺の4つの予防ポイントとは