男性の問診をする男性ドクター

顔面神経痛は正式には「三叉神経痛」と言われる顔面の痛みです。50歳前後から増え始め、三叉、とは文字通り耳から伸びる神経の糸が3方向に分かれ、その一つは眼から鼻部分、もう一つは眼の下部分、最後は耳の内側や下顎方向に広がります。

今回は顔面神経痛の原因治療法をお伝えします。


   


顔面神経痛の2つの原因!腫瘍と血管の異常とは


1)顔面神経痛とはどんな病気か

(1)3つの感覚の異常

顔面神経痛、いわゆる三叉神経痛は、顔に痛みが生じるものです。顔面では、撫でられたり触られる感覚=触覚、痛みを感じる感覚=痛覚、そして暑い寒いを感じる感覚=冷熱感覚がわかります。

この感覚は即座に脳に伝達されますが、必ず三叉神経を通っていくことから、三叉神経に異変が起こる場合、顔が痛く感じます。

(2)瞬間的な激痛

痛みは瞬間的に発生し、長続きしません。激痛が走ったと思っても、数秒程度で治るため、歯の痛みと勘違いされることもしばしばです。ただ、眼がえぐり取られるように感じた、という人が結構いることから、耐えられないような痛みであることがわかります。


2)顔面神経痛の2つの症状とは

三叉神経痛には、大きく分けて2つの症状があります。一つ目は、顔に何かが触れることで、発生する突発性の痛み。もう一つが季節の変わり目に出る痛みです。

(1)顔から発生する痛み

顔面を3つに分けて考えた場合、1つ目は、おでこから眼、鼻、眼、おでこを通るライン。2つ目はこのラインしたから上顎、上唇のライン。

3つ目は耳内側から、下顎までの狭い部分で、三叉神経が枝葉に分かれて伸びています。顔のどの部分が痛いのかで、1つ目か、2つ目か、あるいは3つ目の神経部分かが分かります。

1つ目と2つ目、2つ目と3つ目の隣同士の神経痛はありますが、1つ目と3つ目、といった離れた神経痛はありません。そしてその症状は、針に刺されるような激しい痛み、えぐられるような激痛、です。

(2)春先と秋口に多い発作

激痛が走っているのに、顔が赤く腫れない、これも三叉神経痛の特徴です。また、春先や秋口に多いため、季節の変わり目に集中して風邪をひいたり疲れたりすることと、全く同じように痛みが襲います。

ただ、寝ている状態では痛みはないのに、夜間起きているときに限って痛みがひどい場合があります。激痛について、よく知っておきたいのは、瞬間的な痛さが怖いため、洗顔も洗髪もできない重症患者がいることです。

また、熱いラーメンを食べることもできず、また、歯が原因だと思い続けて、歯科医に通院し健康な全ての歯を抜いてしまった人もいます。人生を大きく変えてしまうほどの大きな病、と考えていただきたいと思います。


3)顔面神経痛の2つの原因とは

顔面神経痛、または三叉神経痛の大きな原因は、2つあると考えられます。具体的に説明しましょう。

(1)顔部を通る血管が原因

神経細胞は頭部に集中しています。理由は脳にあります。全身の神経は脳から首を通って、全身に張り巡らされます。例えば、痛みを感じることは、神経がきちんと通っている証拠です。

痛みの90%は、神経の回路に何かが触れていることに原因があります。顔面神経痛、という俗称が付けられることからわかるように、火の出るような痛みが発生する原因は、頭部の中で、一番数の多い神経が、三叉神経です。

そのため、常に神経と隣り合うように走る血管が、何かの拍子に曲がったり、太くなったりして、触れてしまう可能性があります。

神経とは、電気が走る線のように考える方が多いのですが、実際には脳全体に1,000億以上もある 神経細胞 によってできたものです。

細胞が集まる集団、細胞体の大きさはわずか200分の1㎟から10分の1㎟。これが結びついて巨大なネットワークを形成していますが、その距離は脳内だけで、100万kmもの長さになります。

これに比べて脳内の血管の太さは、直径4㎜から8㎜ほど。神経に比べて巨大な土管のような血管内に、血栓ができたり、内圧が高まって膨張するだけで、三叉神経のわずかな枝葉が圧迫されてしまい、瞬間的に強烈な痛みが走るのです。

(2)腫瘍が原因となる場合

腫瘍は体のその部分にも発生します。腫瘍は本来ありえない「こぶ」のようなものが、脳内で大きくなってしまうことをいい、それが神経に触れるほど成長した場合に、激痛の原因となります。

見つかった場合は、除去することで、痛みは無くなります。血管が圧迫している場合と異なるのは、血管の場合は、正常な位置に戻すことで痛みが無くなることに対し、腫瘍は特殊な手術で取り除く必要がある、ということです。

Multiethnic medical research team working at desk


4)顔面神経痛の検査方法とは

(1)専門家での問診

三叉神経痛は、問診が基本です。似たような症例として、帯状疱疹がありますが、これは血管とは関係なく、神経にウイルスが潜伏して悪さを起こすもの。

ウイルス性の発疹は赤くなったり、かゆみがでたりしますので、区別が付きやすいのですが、痛みかかゆみかがはっきりしない場合もあります。

(2)MRIの脳内検査

こうした場合は、MRIによって脳内の画像で原因を特定します。 MRIは大きなドーナツ状の輪の中に患者が寝かされた状態で撮影されるもので、脳内をあらゆる角度から輪切りにしますが、骨が映らないことから、血管部分が鮮明になります。

MRIは、できるだけ新しい機種の方が正確な診断が可能です。MRIは最新式で20億円ほどしますが、検査費用は健康保険適用内、3万円ほどで収まるのが普通です。

15分から20分ほどかかり、ガンガンと大きな音が頭上で響く中、仰向けになっているだけで終わります。

注意すべき点は、症例の多い病院にかかることです。できれば画像診断医が在籍していること、また脳内の手術について、術数が多い病院に最初からかからなければいけません。決して簡単な手術ではないからです。


5)顔面神経痛の2つの治療法とは

治療には2つ、一つは投薬治療と執刀による治療があります。ここで、注意したいのは投薬治療についてです。

(1)テグレトールは治療薬ではない

神経痛の投薬には、テグレトールが使用されるケースが多くあります。これは心療内科や精神科でも処方されることから、よく知られている薬ですが、基本的には てんかん、躁うつ病 の治療に用いられます。

てんかんは発作のひとつであり、体が痙攣したり、意識が急になくなってしまう症状が特徴です。

神経細胞が規則正しい動きをすることで、人間の動作は調和が取れたものになりますが、脳血管障害などが原因で、血流が途絶え、酸素不足になってバランスを欠いた動きに変化します。

神経細胞の異常な動きが引き起こすことから、テグレトールが万能薬のように思われているのが実態です。ですが、テグレトールはあくまでも神経を麻痺させるもの、と考えるのが良いでしょう。

三叉神経痛に非常に効果的なため、習慣的に投与する患者がいますが、痛み止めとしては一時しのぎにしか過ぎません。また、副作用としては、眠気やふらつきが出ること、効き目が短い短所があります。

言い方は悪いのですが、脳をだますことで、痛みを感じなくさせる薬の典型です。ただ、歴史があることと、世界中で承認されている薬であることから、副作用の内容や他の薬剤との併用や持病など、しっかりとしたデータが蓄積されていることが安心材料です。

(2)皮膚切開による手術

三叉神経の元締めである、小脳に向けて、耳の後ろに4㎝から10㎝ほどメスを入れていきます。頭蓋骨は3㎝ほど穴を開け、後頭蓋窩という小脳が収まっている場所にカメラを通します。この場所から、神経と血管の状態を見定めていきます。

血管が神経に干渉している場合は、血管を静かに神経から離していきます。

脳に穴を開け、中の状態に触れていくわけですから、できるだけ小さな穴で、的確に短時間で終える手わざを持つ医師に担当されると、治癒の確率は非常に高まります。

神経と血管に傷を付けず、かつ周囲の部分にも痕を残さないようにしなければなりませんし、腫瘍がある場合は切除する必要があります。

どちらにせよ、再び干渉しないようにどのような材質のもので神経を保護するか、それをしっかりと聞く必要があります。材質如何で、手術費用が変わることはありません。

最終的には、穴を埋め、筋肉と皮膚を接合しますが、耳の後ろという場所ですから、髪の毛に覆われる場合は目立たない傷跡で済みます。

検査中の女性の医者


6)顔面神経痛の手術後の予後とは

(1)90%患者さんが治癒

術後1週間ほどで、退院でき、痛みが取れていきます。遅くても5年から6年で疼痛が消失していき、90%の患者で完全に治癒すると考えられます。ただ、条件としては、難易度の高いこの手術に熟練している医師に限ることはいうまでもありません。

(2)名医と出会うために

顔面神経痛、三叉神経痛の治療については、放射線治療を行うケースがあります。これは健康保険適用外の自由診療ですが、麻酔を必要とする執刀ではないことから、持病のある方には効果がある、という説があります。

ですが、基本的には、原因が神経との干渉がわかっていますので、できるだけ上手な医師に執刀してもらうのが的確です。

名医を探す方法は2つあります。まずは、看護師に聞くことです。もう一つは、ネットでもよし、医療情報誌でも構いませんが、できるだけやさしい言葉で三叉神経痛について、あるいは処置について記述している医師に担当してもらうのが一番でしょう。


7)顔面神経痛への予防ポイント

(1)血管・血流の改善

顔面神経痛は、血管異常が神経に干渉することが圧倒的です。ですから、血管に常に綺麗にしておくような生活スタイルが好ましいことになります。

非常に曖昧な言い方になりますが、血管は心臓から動脈を通って全身にたどり着きます。その際に新鮮な酸素、栄養分、を血液が運びます。そして水分を常に補給していることが必要です。多くの人は運動と食生活に気を付けますが、呼吸については鈍感な方が多いようです。

(2)鼻呼吸・深呼吸を活用

鼻から深呼吸し、口からゆっくりと二酸化炭素を吐くことが、血管を錆びさせない大きなポイントにもなります。

深呼吸が大事な理由は、脳細胞にしっかりとした酸素を送り込むことができることによります。ストレスを感じた場合は、まず、深呼吸を行う癖をつけるのが良いでしょう。


   


今回のまとめ

1)顔面神経痛とはどんな病気か

2)顔面神経痛の2つの症状とは

3)顔面神経痛の2つの原因とは

4)顔面神経痛の検査方法とは

5)顔面神経痛の2つの治療法とは

6)顔面神経痛の手術後の予後とは

7)顔面神経痛への予防ポイントとは