ファイルをめくる女性医師

頭痛で厄介なのは、便秘や下痢といった腸内異常が同時に起こることです。その多くはウイルス感染かアルコール摂取過多という経験から、人はその重大性に気がつかないことが多いのです。今回は頭痛と下痢が同時に起こる理由と、対処方法をお伝えします。


下痢と頭痛が同時に起こる3つの理由!対処法とは


   


1)下痢の2つの症状とは

ここでは、便の仕組みについて理解しておきます。下痢とは何か、原因は何かを先に覚えましょう。

(1) 身体の排泄機能の役割

体には様々な排泄機能があります。排尿、排便の他にも二酸化炭素を排出することなども立派な排泄機能です。上半身にある、心臓は血液を血管へ流します。そしてからだのすみずみの細胞へ養分を送り届け、帰りは老廃物を回収して戻ってきた後、腎臓で濾過されて、排出されるのが尿、つまりおしっこです。

一方、口から取り入れられた食べ物は、胃で消化されます。胃で残ったカスは次の十二指腸でさらに消化され、ついで小腸で消化の最終段階を迎えます。

ちなみに茶系の色は胆汁で、十二指腸で染まるもの。小腸でも消化されないものが食物繊維です。食物繊維をふんだんに摂取すると、小腸内の余分な脂肪分や細胞の死骸などを吸い取ってうんちとして形成されます。これが大腸を通って排泄されるには、多量の水分が必要になるのです。

(2)下痢になる2つの理由

下痢は水分を多く含んだ便を指します。実は、正常な便の水分密度は80%ですから、下痢はほとんど水分であることがわかるでしょう。下痢になる理由は2つあります。

・胃や腸内の細菌の排出

例えば、潰瘍性大腸炎は激しい下痢が続くことで知られていますが、これは腸内に運ばれた細菌が、潰瘍(できもの)を作り、それをなんとか押し流そうと、便が固まらないで水分のまま押し出してしまう、一種のサインです。

・暴飲暴食

普段の食生活以上に、多量の栄養分が体内に入ってくると、胃や腸はもう消化しきれない、というシグナルを出します。それが多量の水分となって、下痢を排泄することになります。この場合は腸に残留物を残さず、水分で押し流してしまえばいいので、止めることはありません。ただ、完全に水が排出されてくるようだと、潰瘍性大腸炎など、様々な疾病を疑わなければなりません。下痢には正常な排便と、水用便の2つがあることを覚えておきましょう。

2)下痢と頭痛が同時に起こる3つの理由とは

下痢の場合は、排便してしまえば楽になるのですが、問題は頭痛や吐き気を伴う場合です。暴飲暴食や吐き気は腸がこれ以上消化できない、というサインですが、頭痛ともなると話は変わってきます。

(1)食中毒

食中毒は、食物が胃腸に入った瞬間に、激しい腹痛、下痢、嘔吐、発熱、頭痛が引き起こされることを言います。そのなかでも、頭痛を伴うものには次のものがあります。

・カンピロバクター

これは豚、牛、鶏などの腸内に住みつく細菌です。2015年6月には堺市の炭火焼肉のお店で33人が食中毒にかかり、カンピロバクターが検出されました。原因は鶏ユッケで、加熱が十分でなかったとのことですが、年間2,000人から3,000人がこのウイルスに感染しています。

・ノロウイルス

カキなどの貝類に住むウイルスです。ウイルスは細菌と違い、感染します。原因は調理従事者による二次汚染。また、嘔吐物を直接触るなどして、体内に入った場合は頭痛と発熱、下痢が3日間ほど続きます。この2つは代表的な食中毒ですが、いずれも脱水症状が起こることから、頭痛に発展します。頭痛の原因はいくつかありますが、血管の異常による血液循環の滞り、神経細胞の破壊、体重の2%(体重60kgの人で、1.2ℓ)の水分が失われると脱水症状に陥り、頭痛に発展します。これは全て神経を通してからだが危険を教えるサインです。

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(2)PMS(生理前症候群)

女性の不快症状の中でも、月経前1週間から2週間にかけて起こる頭痛、下痢の他にもいろいろな症状が出てきます。これらはプロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンが分泌されることで、脳内に刺激がもたらされることを言います。この場合はビタミンやミネラルを補給することが必要です。

(3)インフルエンザウイルス

毎年一定期間中に流行するインフルエンザも、細菌では季節を問わず発生しています。国立感染症研究所の調査によれば、インフルエンザウイルスそのものが問題なのは、もともと循環器系、腎臓、呼吸器系に疾患を抱える人たちが、感染によって肺炎などになるケースです。

頭痛や吐き気、高熱、下痢などは一人ひとりがもつ基礎的な慢性疾患で、体力が弱っている場合に、ウイルスが集中的に免疫を乗り越えて体内に侵入しやすいことと関係があります。よく、冬は寒いから風邪をひく、という方がいますが、これは間違いです。

全ては乾燥という環境によって、ウイルスが猛威を奮い、人から人へと感染していきます。高熱はウイルス感染による反応の一つ、そして頭痛は神経に影響があることとされます。ただ、本当の意味でのインフルエンザウイルスがなぜ頭痛や下痢を起こす場合があるのかを証明するものは、まだ発見できていません。こうしたウイルス感染の場合は、病院での処方薬で対処することと、感染が広がらないように隔離されることが条件です。

3)応急処置!行うべき対処方法とは

今まで、頭痛と下痢が一緒に発生する症状を見てきましたが、対処法を考えるには、頭痛が先か下痢が先かを考えることが必要です。

(1)食べ過ぎの場合

食べ過ぎの場合は腸が危険信号を出していて、頭痛へと発生します。女性特有の症状の場合は、頭痛が先となることが多く、これはホルモンバランスに関係することから明白と言えます。

(2)インフルエンザの場合

下痢がない場合も少なくありません。まずは高熱と頭痛、吐き気、嘔吐が先に来ることが多いので、腸に関係している場合は、インフルエンザウイルスと同時に、消化器系にも他のウイルスが誘発されていることがあるからです。いずれにしても、まずは水分を取ること。まずこれが必要です。よく、病院で点滴を受けることがありますが、これは電解水。つまり体内の水分に一番近いとされる成分の水です。水分補給が一番必要で、それから病院で診察を受けるのが一番でしょう。


   


今回のまとめ

1)身体の排泄機能の役割

2)下痢は水分が80%以上含まれる便を指す

3)頭痛と下痢が同時に起こる原因は、食中毒、月経前、インフルエンザの3つ

4)対処法は水分補給。それから病院での受診

頭痛と下痢が一緒に起こるとすれば、なんらかの疾病やウイルス感染が疑われます。

でなければ、全く違う2つ以上の疾患に罹患しているか、交通事故などの外傷なども考えられますが、医学的にはそれらは排除されることになります。

からだはひとつでも、臓器や骨、神経や血管などの役割はみな異なり、結果として脳がサインを出すか、便や血液が異常値を出すか、ということになるからです。