オフィスで患者に説明をする女性医師

日本のある疫学調査によると、偏頭痛は有病率が約8.4%、推定840万人が抱えている病気です。

有病者の10年追跡調査では、症状が軽減した人もいますが、40%近くの人が依然頭痛に悩まされているのが実情です。

今回は偏頭痛とその対処法について紹介します。 


   


偏頭痛の3つの対処方法!2つの治療法とは


1)偏頭痛 とは 何か  

偏頭痛(片頭痛)は発作性の慢性頭痛で、病気が原因の頭痛ではありません。

偏頭痛には2種類あり、頭痛の発作の前に前兆があらわれる場合と前兆があらわれない場合に分けられます。

頭痛の国際的な診断基準である「国際頭痛分類第2版」や「日本頭痛学会のガイドライ ン」に示されています。

偏頭痛は、思春期から30才くらいまでに発症しやすく、女性に多くみられ男性の4倍になります。  

(1)偏頭痛の症状  

偏頭痛は、月に1~2回、多い時は週に1~2回くらいの頻度で発作が起きます。

痛みは1~2時間でピークに到達し、「ズキンズキン」と拍動性の頭痛が4時間~72時間 程度続きます。 偏頭痛の症状の区分は、次の通りです。

中度~重度の症状が、有病者の75%を占めます。        

軽度 : 日常生活に影響しない          

中度 : 日常生活に影響する          

重度 : 日常生活が不可能  

痛みが続く間は、少し体を動かすだけでも症状が悪化します。歩いたり体勢を変えたりするだけで痛みが増して、仕事や日常生活に支障をきたします。

偏頭痛の痛みは、頭の片側(こめかみ~目にかけて)で起こりますが、 頭の両側で起こる場合もあります。

痛みに加えて、普段は何も感じないような光や音、 においに対して敏感になります。

吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。偏頭痛は、発作があると大変な痛みを伴いますが、治まると何も無かったかのように消 えてしまいます。

普段は一般の方と何も変わりません。 

(2)偏頭痛の主な3種類の前兆  

頭痛が起こる前に、次の症状があらわれます。   

目の前にキラキラした光や、ギザギザした円状の光が現れます。また、視野の一部がくりぬかれた様に見えなくなります。閃輝暗点(せんきあんてん)と言います。   

体の半分が脱力したり、チクチク感やしびれ感があらわれます。   

言葉が話し難くなる言語障害が起きる時があります。  

これらの症状は60分以内に治まり、その後1時間以内に頭痛の発作が始まります。 前兆があるタイプの偏頭痛を抱える人は、30%います。

前兆のほかに前駆症状が起きる人もいます。発作の数日前から、肩や首が凝ったり、 眠気に襲われたりします。 

(3)偏頭痛の診断  

調査によると、偏頭痛をもつ70%の人が、医療機関で診断を受けたことがありません。 市販薬を購入し症状を緩和させているケースが多くあります。

偏頭痛には、「トリプタン系薬剤」 という特効薬があります。  

自己診断に任せて対処していると、頭痛が重度化する場合があります。医師に相談して、 適切な診断を早く受けるようにしましょう。

医療機関を受診する場合、医師に詳しく説明することが大切です。偏頭痛は、血液検査や頭の検査(CTやMRIなど)ではわかりません。

検査する方法がありません。医師との問診 が、偏頭痛を診断する唯一の方法です。

頭痛の発作が起きた日時や状況などをメモに記録しておいて、医師に細かく説明できるようにしておくことをお勧めします。

頭痛の影に隠れて、くも膜下出血や脳梗塞などの命に関わる病気があるかもしれません。 医師に詳しく説明することは、これらの病気を見落とさないことに繋がります。 


2)偏頭痛の原因と考えられる2つの物質とは  

偏頭痛の発生するメカニズムは解明されていません。頭部の血管に炎症や拡張が起きて、それが頭痛を引き起こす原因になっていると推測されています。

その血管の炎症と拡張を誘発すると考えられる物質が2つあります。  

(1)神経伝達物質のセロトニン

(2)顔の周辺感覚をつかさどる三叉神経が分泌する物質  

どちらの場合も、日常的なストレスに刺激を受け、物質が過剰に分泌されて 血管に悪い作用をします。この日常的なストレスは、人によって異なります。

また、偏頭痛は女性に多いため、女性ホルモンも影響しているではないかと推測されています。実際に、発作が月経の時期に関係があると自覚している人が50%ほどいます。 

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3)偏頭痛 の 3つの 対処方法 

偏頭痛の発作が起きたときの対処法を紹介します。また、頭痛が続いている間にやってはいけないことや治療情報も併せて紹介します。 

(1)冷却する     

頭痛で痛む部分(こめかみ付近)を濡れタオルなどで冷やします。冷やすことで頭痛の原因である血管の拡張や炎症を抑えられて痛みがやわらぎます。 

(2)安静にする     

外的刺激が少ない部屋で安静にします。強い光や騒音はストレスとなり、症状そ悪化させることに繋がります。暗くて静かな部屋でゆっくり横になります。 

(3)ツボマッサージ     

列欠(れっけつ)というツボを刺激することで、痛みが緩和します。     

列欠の場所:手のヒラ側の手首のしわを見ます。親指側のしわから腕に向けて指2本分のところにあります。脈を感じる場所です。

ここに親指の腹を押しあてて、2分間程度、円を描くようにマッサージします。 

(4)偏頭痛の発作時にやってはいけないこと     

偏頭痛は、血管の炎症や拡張に起因する痛みです。血液の循環を良くしたり血管を拡張したりするようなことは控えましょう。       

・お風呂 

・お酒 

・運動 

・マッサージ など 

(5)偏頭痛の治療  

偏頭痛の治療には、2種類あります。   

①急性期治療 

頭痛の発作の回数が少なく(月に数回程度)、生活に支障が出ない人に適用されます。頭痛が起きたときに、すぐに痛みを鎮める治療です。   

②予防治療  

頭痛の頻度が多く、生活に支障を及ぼす人に適用されます。

急性期治療と併用されます。 薬を毎日服用し、頭痛発作が起こりにくい環境を作ります。

頭痛発作の頻度や症状の軽減、痛みの持続時間を短くする治療です。予防治療の効果があらわれるのに、2ヶ月間の時間が必要です。 


4)偏頭痛の発作予防  

偏頭痛は、日常生活における外的ストレスに誘発されやすい病気です。頭痛を引き起こす要因は、 有病者によって異なります。

ご自身の頭痛発作時の状況と照らし合わせて、予防対策を実施しましょう。  

(1)ストレスの緩和      

精神的ストレスは、回避できません。ストレスを感じたらリラックスすることを心がけましょう。ストレッチやアロマ、音楽鑑賞など自分に合った方法で対処しましょう。  

(2)規則正しい生活      

不規則な日常生活も、ストレスの原因です。食事を取る時間や就寝時間など毎日規則正しくすることを心がけましょう。  

(3)食物      

アルコールやチョコレート、チーズなどで頭痛を誘発する人がいます。これらの食べ物で頭痛を誘発する人は、注意しましょう。  

(4)外部環境への対処      

騒音やまぶしい光、タバコなどのにおいに敏感になり頭痛を誘発する人は、人ごみや日が差す街中、空気の循環が悪い場所などは避けましょう。

また「サングラスをする」などの対策をとりましょう。 


   


今回のまとめ

1)偏頭痛は発作性の慢性頭痛で、発作の前兆がある病気です。 

2)偏頭痛の診断は、問診が唯一の方法で医師への詳しい説明が大切です。 

3)偏頭痛の有病者の多くが医療機関を受診していません。自己判断で対処しており、症状の重症化の危険性があります。 

4)偏頭痛の発生メカニズムは解明されていませんが、血管の炎症と拡張が大きく関係していると推測されています。 

5)偏頭痛の発作時は、安静にして横になることが大切です。 

6)偏頭痛の予防は、自分にあった対処法を選択しましょう。頭痛発作の誘因となる外的ストレスは個々によって違います。  

以上が今回の記事の内容となります。偏頭痛を持つ方が、病気と上手に付き合える方法の 参考となれば幸いです。