資料の上に置かれた黒い聴診器

頭痛にも様々なものがあります。痛くなる場所も頭痛の原因によって違いがあります。もし耳の前側やこめかみ近くに痛みが出るようになったら、それは「顎関節症」かもしれません。

今回は顎関節症と頭痛の関係性についてご紹介します。


   


【解説】顎関節症と頭痛の関係って?注意したい3つの関係


1)どんな症状が現れる?顎関節症の代表的な症状

顎関節症とは、顎の関節と顎の筋肉やその周りの組織に異常があり、様々な問題が起こることを言います。顎の関節は左右一対で、耳の前あたりに位置します。その症状は下記のように様々です。

(1)顎を動かす筋肉の痛み

関節そのものよりも、関節を動かす筋肉に痛みが出ることがあります。筋肉の疲労や、何らかの原因による疲労など。筋肉そのものを押した時や、口を開け閉めするとき、物を噛むときに痛みが生じることがあります。

(2)口が開きづらい(開口障害)

顎の関節に炎症が起こっていたり、顎を動かす筋肉が使い過ぎで炎症が起こっていたりすると、口を動かすだけで大小様々な痛みが生じ、口が開きづらくなります。場合によってははほとんど開かなくなることもあります。

顎関節は身体の中でも複雑な構造をした関節の一つです。その周囲の筋肉は口の開け閉め運動だけでなく、口を閉じたままにしたり、ものを噛む運動にも働くので、筋肉の酷使が起きやすい部位でもあります。

顎の筋肉を使い過ぎることで、筋肉が緊張していき、その筋緊張のために口を動かす時に痛みが生じるのです。主に20歳前半、および40~50歳女性に多く起こるものとされています。

(3)関節がずれる時のクリック音(乾いた音)

口を大きく開けた時や顎を左右にずらした時に、関節内に乾いた音がしたり、人によっては関節が動いて違和感を感じたり、カチッとハマる感覚がすることもあります。

2)考えられる原因とは?顎関節症の主な4つの原因

(1)顎の噛み合わせ

噛み合わせが悪いと、物を噛むたびに顎が少しずつずれていくことにつながります。この噛み合わせの悪さは生まれつきのものもあれば、柔らかいものを食べすぎたりといった後天的なものもあります。噛み合わせが悪いと筋肉にも過剰な負担がかかり、筋緊張を引き起こします。

(2)顎の癖

顎の癖とは、例えば食べ物を噛む時に片側のみで噛んだり、歯ぎしりするクセだったり、頬づえを長時間つくといったものです。これらの癖によって顎の筋肉に過剰な負荷がかかり、筋緊張から痛みが出ることがあります。

(3)ストレス

ストレスも実は顎関節症に大きく関係しています。ストレスを感じている時、人は知らず知らずのうちに全身に力が入ってしまいます。

それは口も例外ではなく、ストレスを感じた時に強く噛みしめてしまうことが筋緊張の原因になったりします。また、ストレスを感じていると、寝ている時に歯ぎしりをしたりして、これが顎関節症の原因になることもあります。

(4)自律神経

自律神経とは、身体が何か不調に陥った時、それを治そうとする自然治癒力をコントロールする神経なのです。

これが自律神経失調症といった病気に陥ると、自然治癒力が十分に発揮できなくなり、身体に疲労が溜まりやすくなってしまいます。これによって顎周りの筋肉に疲労が溜まり、顎関節症が引き起こされてしまうことがあります。

患者の状態を聞く女性の医師

3)要チェック!顎関節症と頭痛との関係とは?

顎関節症は頭痛とも大きな関係があります。顎を動かす側頭筋という筋肉は、耳の上からこめかみまでに付いていて、顎関節症の原因でもある筋緊張がこの側頭筋に起こると、顎の痛みと同時にこめかみ近くにも痛みを感じることがあります。この時の痛みの特徴は以下の3つです。

(1)頭の横が締め付けられるような痛み

(2)こめかみから後頭部にかけてズキンズキンと脈打つような痛み

(3)常に頭が重たい感じがする痛み

これらの症状は、顎関節症が原因で頭痛へと発展したパターンが多いです。

4)どんな処置がある?顎関節症への治療方法

顎関節症は医療機関(総合病院や歯科)における検査で診断が付けられます。さらに医療機関ではいくつかの治療を処方されます。

(1)スプリント療法

スプリントと呼ばれるマウスピースのようなものを口の中に入れ、噛み合わせを改善します。これによって顎周りの筋肉をリラックスさせて、痛みを和らげます。

夜間に装着すると歯ぎしりを減少させる効果もあるので、さらに筋肉の状態は良くなり、3か月ほどの治療でほとんどの人の顎関節症が改善します。

(2)痛み止め

痛みがひどい場合には痛み止めも処方されます。これは基本的には対症療法ですので、スプリント療法と併用して原因の改善に取り組んでいきます。さらに、個人で取り組むことのできる対処法もいくつかご紹介します。

(3)顎の体操

顎を大きく開く、右にずらす、左にずらす、前に出すといった動きを10~20秒間キープします。それぞれ痛みの起こらない範囲で行うことが大前提ですが、これによって顎周りの筋肉がリラックスして症状が改善します。

(4)定期的な運動と睡眠

心理的なストレスは歯ぎしりや筋緊張を引き起こし、顎関節症の原因となります。それを改善するために、日常生活で感じるストレスを軽減することは重要です。

そのストレスに感じることを減らそうと思ったら、日常的な運動と、十分な睡眠が推奨されています。特に、毎日30分ウォーキングをしている人は、そうでない人に比べてストレス耐性が高いという研究結果も出ています。最低でも週に3回、20分行うと効果があるそうです。

また、睡眠が6時間以下の人はそれ以上睡眠を取っている人と比較して、日常でストレスを感じる割合が多いという研究結果も出ています。さらに、定期的な運動と睡眠は自律神経を正常に戻す働きもあり、やはり顎関節症の改善には生活習慣を見直すことが効果的であると言えます。


   


今回のまとめ

1)顎関節症とは、顎の筋肉や関節の異常で、顎や頭周辺に様々な不調が現れることである。

2)顎関節症の原因には、顎の噛み合わせの悪さや食事や日常の顎の癖、ストレスがある。

3)顎関節症の症状の一つに頭痛があり、これは顎の筋肉が頭までつながっており、その筋肉が緊張しているためである。

4)顎関節症の対処法は、医療機関ではマウスピースと薬、個人では顎の体操や日常的な運動、睡眠時間の確保が推奨されている。