脳の検査画像を診断する医師

高次脳機能障害は、ある調査によると日本全国でおよそ50万人いると言われています。また発症年齢の平均はおよそ30歳というデータもあり、若いから大丈夫という病気・障害ではありません。

今回は高次脳機能障害の軽度・中度・重度の症状を主に、関係する内容を含めてご紹介します。


   


高次脳機能障害の初期・中期・重度3つの症状!


1)高次脳機能障害とは

(1)高次機能とは

人間は、他の動物と違い知覚、記憶、学習、思考、判断など(認知機能と言われています)、脳の中で営まれている機能に感情を合わせ持っています。

脳の中での営みに感情を合わせ持ち、精神や心理にも影響するのは動物の中では人間だけと言われています。

他の動物は例えば脳の中で営まれている機能を本能的に行うとしたら、人間はそこに感情が働きながら脳の中での営みが機能しています。

これを一般的に高次脳機能と言っています。

(2)高次脳機能障害とは

本来人間であれば感情を合わせ持った認知機能が、事故などや脳の病気により、脳内が損傷を受けたことにより起こる症状です。

感情を合わせもった認知機能に障害が起き、記憶力や注意力が低下したり、人格が変わったようになってしまった症状の総称のような障害名・病名です。


2)高次脳機能障害の3つの原因とは

高次脳機能障害になる前兆・原因としては、主に次の3つをあげることができます。

(1)脳血管性疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)。

(2)外傷性脳損傷(頭や脳の外傷など)。

(3)その他の脳内疾患(脳炎、低酸素脳症など)。


3)高次脳機能障害の軽度・中度・重度の各々の症状とは

高次脳機能障害の軽度・中度・重度の症状とは、主に次のような内容になります。

(1)軽度

最近の記憶や複雑な記憶を断片的には覚えていることが多いようです。しかしそれぞれが関係性のない事柄を結びつけて考えることが難しくなるようです。

(2)中度

最近の記憶や複雑な記憶などは失われていることが多いようです。しかし昔の記憶や体験的に習得したこと、習慣化したことなどは記憶が保たれているようです。

(3)重度

最近の記憶も昔の記憶も失われているなど、ほとんどすべての記憶に障害がでるようです。


4)高次脳機能障害の5つの検査方法とは

高次脳機能障害の検査方法は細かく分けると実に多くあります。主なカテゴリーとしては次の5つの検査方法に分けることができます。

(1)MRI・CT

MRI・CTなど医療機器を用いた検査。脳のどの部分がダメージを負っているかを調べます。

(2)全般的記憶検査(WMS-R(ウエクスラー記憶検査)など)

言葉や図形を用いて、主に一般的な記憶と注意力を調べるのに有効です。

(3)言語性記憶検査(三宅式記銘力検査など)

聴覚性言語の記憶を調べます。頭部外傷がある方はこの検査の成績が悪くなる傾向にあります。

(4)視覚性記憶検査(ベントン視覚記銘力検査など)

視覚認知、視覚性注意、視覚性記憶、視覚構成能力を調べます。 

(5)日常記憶検査(RBMT(リバーミード行動記憶検査)など)

検査時間は30分程で、日常生活に近い状況の項目により日常記憶がどのようになっているかを調べます。

病院などの受診では、まずは脳神経外科などで診察を受け、脳内の損傷部分(高次脳機能障害のもとになっていると考えられる部分)を特定し、

その後、回復目的を主とするリハビリテーション科で再度診察・検査・リハビリテーションという治療過程になることが多いようです。

病院によっては高次脳機能障害外来という専門外来を設けているところもあるようです。

Doctors of meeting


5)高次脳機能障害の3つの治療法とは

高次脳機能障害の治療法は、主に医学的リハビリテーションに委ねられます。

発症後1年程度までは著しく回復する場合があるため、高次脳機能障害と診断されたら、できるだけ早く医学的リハビリテーションを開始すると良いと言われています。

医学的リハビリテーションの内容をいくつかご紹介します。

(1)反復訓練・内的記憶戦略法

記憶障害の回復に有効と言われています。

(2)パズル・まちがい探し

注意障害の回復に有効と言われています。

(3)更衣・家事・物の組み立て

遂行機能障害の回復に有効と言われています。


6)高次脳機能障害の予後とは

高次脳機能障害は発症後1年程の間に障害・症状が著しく回復すると言われています。また回復しやすいのは注意障害と言われており、適切な医学的リハビリテーションによってかなりの回復が期待できます。

反対に回復しにくいのは記憶障害と言われています。脳血管性疾患に起因する高次脳機能障害の記憶障害は、発症者の50%は記憶回復が困難というデータもあるようです。


7)高次脳機能障害の2つの予防ポイントとは

高次脳機能障害の予防ポイントとして、次の2つをご紹介します。    

(1)交通事故や高所作業からの転落事故を回避する

実際は不慮の事故等回避できない場合も多くあると思いますが、頭部へのダメージを極力回避することはとても重要です。

20代30代の高次脳機能障害発症患者の多くは、これが原因になっていると言われています。

(2)脳血管性疾患を予防する=生活習慣病を予防する

脳梗塞や脳出血などの脳血管性疾患を予防することが高次脳機能障害の予防につながります。脳血管性疾患の予防は、すなわち生活習慣病の予防とも言えます。

食べ過ぎをやめること、アルコール類を多量に飲まないこと、タバコを吸わないこと、適度な運動を生活の中に取りいれること、ストレスを上手に発散すること、適度な睡眠時間を確保することなどがあげられます。

また高血圧は脳血管性疾患のリスクを高めます。医師に相談して血圧を下げる飲み薬などを処方してもらうのも有効です。


   


今回のまとめ

1)高次脳機能障害とは

2)高次脳機能障害の3つの原因とは

3)高次脳機能障害の軽度・中度・重度の各々の症状とは

4)高次脳機能障害の5つの検査方法とは

5)高次脳機能障害の3つの治療法とは

6)高次脳機能障害の予後とは

7)高次脳機能障害の2つの予防ポイントとは