コンピューターを見つめる2人の医者

激しい頭痛に襲われると、一度は「くも膜下出血」が脳裏を過ぎったことがあるのではないでしょうか。

発症すると死亡率が約50%と非常に高く、処置が遅れると再出血の危険性もあり、また後遺障害などのリスクもあるとても怖い病気です。今回は症状や前兆についてお伝えします。


   


くも膜下出血の4つの前兆!3つの原因とは


1) そもそもくも膜下出血とは

脳は外側から硬膜、くも膜、軟膜の3枚の膜でおおわれています。

くも膜の下(内側)には脳脊髄液という液体がありますが、この部分に脳の動脈がこぶのように膨れ破裂、出血するのがくも膜下出血です。

また、脳動静脈奇形からの出血や、頭部外傷によるものもあります。40歳代、50歳代では男性に多く、60歳以降は女性に多くなる傾向がみられます。

くも膜下出血を含む脳卒中は日本人の死因別第4位であり、厚生労働省の統計によると年間11.3万人が亡くなるとされています。

また、別の厚生労働省の統計によると中でもくも膜下出血はそのうちの10%強を占めるとされています。


2)くも膜下出血の4つの前兆とは

(1)突然の激しい頭痛、嘔吐、けいれん

出血が脳の表面にある皺の中に広がり、頭蓋内圧が急に上昇することによって、突然激しい頭痛と嘔吐、けいれんが起こります。

出血のしかたや出血量によって症状の現われ方がちがいますが、軽い症状でも突然起こって持続する頭痛は危険です。

(2)まぶたが下がる、視覚に異常が起こる

脳動脈瘤が、破裂寸前になると、マブタを上げるのに働いている動眼神経を圧迫することがあります。

すなわち、急に片側のマブタが下がってきた時は、「くも膜下出血」の前ぶれであることがあり、くも膜下出血の前兆としては「視覚の異常」から「激しい頭痛」の番で起こります。

(3)手足のまひ、ろれつが回らないなどの言語障害

出血のために脳の血管が細くなり、脳に十分な血液が流れなくなっているときの症状です。

(4)認知症、歩行困難、尿失禁

脳脊髄液の流れが悪くなり、脳脊髄液がたまって脳室が大きくなった正常圧水頭症の症状です。

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3) くも膜下出血を引き起こす3つの原因

(1)高血圧

くも膜下出血のリスク要因のなかでも、最も一般的なものは高血圧です。

高血圧の人は、そうでない人と比較すると、くも膜下出血による死亡リスクが約3倍(男性2.97倍、女性2.70倍)も高くなります。

(2)喫煙

喫煙との関連性については、さまざまな調査が行われていますが、喫煙者のリスクは非喫煙者の2.2倍~3.6倍にもなります。

1日の喫煙量が少なめの人(10本未満)であっても、20本以上吸っている人とリスクは違いません。喫煙そのものが、リスクを高めているといえます。

(3)遺伝

若い人にみられる脳動静脈奇形からの出血は、同じ家系内に起こることがあるので、親戚でくも膜下出血を起こした人や未破裂脳動脈瘤がある人がいる場合は注意が必要です。


4) くも膜下出血の3つの治療

(1)クリッピング術

開頭して脳動脈瘤の頚部に特殊な金属クリップをかけて脳動脈瘤を閉塞させ血流が行かなくなるように処置をすることです。

多くの場合、額の生え際の髪の毛を剃毛して額の外側の骨を切り、脳の隙間から手術用顕微鏡で手術する部分大きく拡大させ、脳動脈瘤の根元を確認します。

まわりの血管や脳への影響がないことを確認した後、脳動脈瘤クリップで脳動脈瘤の根元を挟みこみます。

このとき、くも膜の下に広がった血液を洗い流すための管を入れたままの状態にすることもあります。

(2)コイル塞栓術

血管内の手術です。全身状態が重症であったり、高齢で体力が衰えたりしている場合、また、開頭手術の難しい場所にできている脳動脈瘤や一部の内頚動脈瘤にはコイル塞栓術による治療が行われています。

局所麻酔をかけて足の付け根からカテーテルという細い管を送り込み、脳動脈瘤に達したカテーテルの先端から白金製のコイルを出し、モニターに映し出された画像を見ながら、脳動脈瘤の内部にクルクルとコイルを巻いて詰めていきます。

くも膜の下に広がった血液を洗い流すための管を入れる手術を改めて行なうこともあります。

(3)血管の縮み(脳血管攣縮(れんしゅく))の治療

25.9%の確立で、出血後4日から2週間くらいの間におきる血管の縮み(脳血管攣縮)という現象が起こることがあります。

手術が順調に終わり、普通に会話ができた方が数日後にはこん睡状態になってしまうことも稀なことではないのです。

脳血管攣縮とは、くも膜の下に広がった血液が血管に対して毒性を持つために、数日で広い範囲にわたって脳の血管を縮めてしまう現象です。

この現象によって脳に充分な血液が送られないと脳梗塞という新たな症状を引き起こします。


   


今回のまとめ

1)くも膜下出血とは、脳の動脈が何らかの原因で弱くなり、そこにできたコブが破裂して出血する

2)視界の異常、突然の激しい頭痛のときはくも膜下出血が疑われる為、軽いと思われる症状でもすぐに医療機関へ受診する

3)くも膜下出血の原因でもあるタバコは本数ではなく喫煙自体リスクを伴う

4)血圧の乱れがあった時には、くも膜下出血の予兆を疑う

5)くも膜下出血は、手術が成功した後でもこん睡状態に陥ることがある 

命に関わる重大な病気です。日ごろから発生リスクを排除する生活を心がけ、疑わしいと思うときは夜間でもすぐに受診されることをお勧めいたします。