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「未破裂脳動脈瘤」は、脳ドックなどによって約6%の人に発見されます。年間の破裂率は 約1%程度ですが、万一破裂した場合は「くも膜下出血」となり、重篤な事態に陥ります。

今回はこの未破裂脳動脈瘤の原因や治療法などについて御紹介します。 


   


未破裂脳動脈瘤の3つの原因!2つの治療方法


1)未破裂脳動脈瘤とは何か 

「未破裂脳動脈瘤」とは、脳の動脈の壁に瘤(こぶ)のように膨らんだ箇所があり、発見された時点において同箇所から出血(破裂)の兆候がない状態のものをいいます。

 通常この「こぶ」は、脳の底の大きな欠陥の分岐部、血管が枝分かれした箇所が血流に押さ れるかたちで膨らんで形成されます。この脳動脈瘤が破裂すると、脳を包んでいる「くも膜」 という膜の内側に出血を起こします。これがいわゆる「くも膜下出血」です。 


2)未破裂脳動脈瘤の症状とは 

(1)未破裂脳動脈瘤の発見 

未破裂脳動脈瘤の多くは症状をきたしません。頭痛やめまいなどの要因で受診したり、一般 的な脳ドック(CTやMRI)などによって偶然に発見される場合が多いといえます。

但し、 段々とこぶが大きくなり、周囲の組織を圧迫して頭痛やものが二重に見えるなどの症状を 引き起こして発見される場合も認められます。 

なお、脳ドックでは正常な人の約6%に、そして親や兄弟にくも膜下出血の既往歴がある人では約 16%に未破裂脳動脈瘤が発見されています。 

(2)破裂した場合の症状 

現在において、未破裂脳動脈瘤が破裂する正確な確率は不明ですが、これまでに報告された年間の破裂率は約1%です。「生涯破裂率」はこれに余命見込み年数を乗じて、さらに大きさや、場所、その他の条件などを勘案して算定します。

例えば、現在 60 歳の女性で平均的 な動脈瘤が発見された場合、余命を約30 年とすれば、生涯破裂率は約1%×30=約30%程度と計算されます。 

未破裂脳動脈瘤が破裂した場合には、「くも膜下出血」となり、激烈な頭痛を生じたり、昏睡状態に陥ります。くも膜下出血は 10 万人に対して年間約12 人程度の割合で発症する重篤な病気です。くも膜下出血は発症すると約半数以上の人が死亡または社会復帰が不可能 な障害を残してしまいます。 


3)未破裂脳動脈瘤の3つの原因とは 

未破裂動脈瘤の発症は男性よりも女性に多いといわれていますが、発症そのものの原因は明確ではありません。おもな原因と考えられているのは以下の事項です。 

(1)遺伝的な要素で、生まれつき血管壁が弱いこと。 

(2)加齢による動脈硬化によるもの。 

(3)高血圧や喫煙など生活習慣にかかわる因子が重なって血管壁の弱い部分をつくってしまうこと。 

smiling senior woman and doctor meeting


4)未破裂脳動脈瘤の2つの治療方法とは 

(1)治療対象となる未破裂脳動脈瘤

一般的に未破裂脳動脈瘤の治療適応は以下のとおりです。 

・脳動脈瘤の最大径が5mm前後よりも大きい。 

・年齢がほぼ 70 歳以下である。 

・その他の条件が手術の妨げにならない。 この条件に当てはまる場合は手術的な治療が勧められるとされています。なお、「その他の条件」とは、例えば全身状態が悪く、治療に耐えられないといった場合を指します。 

動脈瘤の大きさが 10mmを超える場合は、治療が強く勧められるとされています。これはこれまでの研究によって、動脈瘤の直径が大きいほど破裂率が高まることが明らかである ためです。 

(2)2つの治療法 

未破裂脳動脈瘤は、破裂する前に治療すれば効果的に予防できます。ただ、治療の前に経過観察を行うことが一般的であり、動脈瘤に変化がないかを観察します。

そのうえで大きさや 形状の変化を見ながら治療を行う場合には、現在以下の2つの治療法があります。 

・開頭手術(クリッピング術) 

長い歴史のある治療法で、最も確実な出血予防方法といえます。頭蓋骨の一部を開放し、顕微鏡手術によって脳動脈瘤の根元にクリップをかけて血流を遮断する手術です。 治療によるリスクが認められ、治療に要する入院期間も長くなります。 

・血管内手術(コイル塞栓術) 

大腿部から挿入したカテーテルを脳動脈瘤内に誘導して動脈瘤の内部にカテーテルからプラチナ製のコイルを送り込むことで血流を遮断する方法です。

 身体への負担が小さい治療法といわれていますが、治療リスクは開頭クリッピング術と比較して低いとはいえず、出血予防効果も高くないものといえます。但し、開頭クリッピング 術では困難な場所の処置が可能です。 


   


今回のまとめ 

1)「未破裂脳動脈瘤」とは、脳の動脈の壁に瘤(こぶ)のように膨らんだ箇所があり、発見された時点において同箇所から出血(破裂)の兆候がないものである。 

2)未破裂能動脈瘤の多くは症状をきたさない。頭痛やめまいなどの要因や脳ドックなどによって発見される場合が多い。 

3)未破裂脳動脈瘤が破裂した場合には重篤な病気である「くも膜下出血」となる。 

4)未破裂脳動脈瘤の原因は、「生まれつき血管壁が弱いこと」、「加齢による動脈硬化」、「高 血圧や喫煙など生活習慣に関わるもの」の3つが挙げられる。 

5)未破裂脳動脈瘤の治療は、治療適応を満たした場合、「開頭手術(クリッピング術)」か 「血管内手術(コイル塞栓術)」で行われる。