おばあちゃんに寄り添う孫

認知症は高齢化社会で避けて通れません。厚生労働省が2015年1月に発表した推計で、2025年の認知症患者は全国で700万人超。実に埼玉県の人口全てが認知症患者、ということと匹敵します。

今回は認知症の初期症状対処法、そして予防ポイントをお伝えします。


   


3分で確認!認知症の12の初期症状とは


1) 認知症とはどのような病気か

認知症、といえば悪態、暴力、徘徊、失禁、窃盗と悪いイメージが先行してしまっています。ですが、これらは全て脳内の細胞破壊によって引き起こされる重大障害で、その結果引き起こされる症状の程度を認知症状、ということをまず踏まえておきましょう。


2)認知症の4つの種類と特徴とは

認知症には生まれつきのものと、事故や怪我、病気で脳障害を負ったために起こる場合の2つがあります。ここでは、型の名前よりも、その特徴をよく知っておくことが大事です。

ここでは特徴から、種類わけしていきます。

(1)最初に、記憶障害が起こる

健常者の物忘れの場合、ヒントを与えると思い出したり、関係のある出来事やものの名前から、思い出すことができます。

ところが、認知症の場合は、つじつまが合わない忘れ方をしてしまいます。毎日同じことを質問することから、予兆がわかります。女性の場合は、アルツハイマー型認知症がほとんどです。

(2)最初に、幻視・錯覚が見られる

亡くなったはずの祖父が庭に立っている、自宅にいるのに、早く家に帰ろう、とせがむなど、通常ありえない話や行動を取り始めます。

また、手が小刻みに震えたり、歩幅が狭くなるなど、まるでパーキンソン病そっくりの症状が出てきます。この場合はレビー小体型認知症の特徴です。

(3)ぼーっとしたり、しっかりしたり、が一日の中で繰り返される

男性に多い認知症のケースで、食事中に急に手が止まったままになってしまったり、同じ姿勢で座り続けていたりしていたと思ったら、普段と変わらない速さでスタスタと階段の上り下りをしたり、新聞を読んだりします。

そのため、半分はお芝居ではないか、と家族が疑ってしまうケースです。これは脳血管性認知症の典型です。

(4)極端な行動を取る

毎日同じ時間に同じところへと散歩に出かける、同じ服を数日着続ける、コンビニのおにぎりを堂々と盗んで、咎められると激しく怒る、などと自分勝手な行動を取るようになります。

物忘れはそれほどなく、駄々っ子のような行動パターンが目立ちます。前頭側頭型認知症は、まさにこんな特徴です。


3)「物忘れ」と「認知症」の違いとは

(1)「忘れた」ことを覚えているか

物忘れと認知症の大きな違いは、はっきりしています。それは、忘れた、という事実が頭にあるかどうか、です。

今日が火曜日だったことを忘れた、友人との約束を忘れた、という、忘れたことがらが、何かの拍子に思い出される場合は、単なる物忘れです。

(2)記憶そのものが消えている

ところが、認知症の場合は、忘れた、という事実そのものが頭に残りません。今日が火曜日である意味がわからない、友人との約束など、していないし、その友人など全く知らない、といったように、記憶そのものの背景までが失われてしまうのが、認知症なのです。

ですから、認知症は脳内の複雑な意思伝達や判断の回路が、どこかで断線していることがわかります。

Multiethnic medical research team working at desk


4)認知症 の 初期・中期・重度 の 症状とは

認知症には、初期段階から、中期、重度期と段階があります。初期段階でどういった認知症何かがわかれば、若干ですがその進行を遅らせることが可能になります。

12の特徴的な初期症状

(1)スマホ、ワールドカップ、などの、新しい言葉が覚えられない

(2)近所に新しく転入してきた人に、なんどもどちらにお住まいですか、と尋ねる

(3)新聞集金の人に、新聞は取っていない、と言い張る

(4)お茶を飲もうと、ヤカンに水を入れずに空焚きしてしまう

(5)ガスの止め方を忘れてしまい、付けっぱなしで後片付けをし始める

(6)今朝の朝食の内容を覚えていない、食べたこともわからない

(7)自分の生年月日、名前、住所がスラスラ出て来ない

(8)連続テレビドラマで、子役が別人に変わると、なぜ変わったのかを執拗に尋ねる

(9)電話では調子よく話していて、切った後にどんな内容の話だったかを、説明できない

(10)家族への思いやりがなくなり、なんでも自分の言う通りにしないと怒り出す

(11)以前あれだけ好きだった、歌番組をぷっつりと見なくなってしまう

(12)ふさぎ込む時間が毎日、あるいは数日に一回現れる

10の特徴的な中期症状

(1)認知症であることを、自分でも認識し始めて、あれこれと指摘されることに苛立ちを覚える

(2)初期症状では、鮮明だった幼児期や小学校時代の出来事も、全くわからなくなる

(3)駅から自宅までの15分程度の道のりに、1時間以上もかけて戻って来る

(4)清潔好きだったのに、風呂に入るのを嫌がるようになる

(5)毎日冷凍ものばかり食卓に並び、食事を作らない

(6)歯磨きをする、といって、歯ブラシを持ったまま動かない。歯磨き粉を付けることを忘れている

(7)何年も住み慣れた自宅のトイレが、どこにあるのかがわからなくなる

(8)トイレで排泄した後、水を流さないことがしょっちゅうある

(9)テレビ番組でコマーシャルに変わった途端に、急に怒り出す

(10)今日はいい天気だね、と話しかけると、72歳だよ、などとトンチンカンな答えが返ってくる

10の特徴的な重度の症状

重度とは、末期と終末期を指します。いずれも家族が介護できる状況ではなくなり、若年性の場合は、本人自ら原因を作って死亡するケースが圧倒的です。

(1)部屋の天井に大きなクモが巣を作っている、などと妄想を毎日話す

(2)昼と夜が逆転する生活になり、夜にゴソゴソと起き出してテレビの音量を上げて、周囲の人を起こす

(3)自分の分だけでなく、食卓にある家族の分の夕食も食べてしまう

(4)鍵の在り処を探しては、勝手に自家用車で出かけてしまう

(5)預金通帳の隠し場所を忘れ、泥棒が来た、と騒ぎ出す

(6)若年性の場合、体力にものを言わせて、ちょっとしたことで他人に暴力を振るう

(7)高齢者の場合、様々な合併症を併発する

(8)食欲がなくなり、呼吸器系の疾患や膀胱炎などが発生する

(9)急激に痩せ始め、一人ではベッドから起き上がることができなくなり、寝たきりになってしまう

(10)痛みが感じなくなり、床ずれしてもわからなくなる


5)認知症の初期段階ですべき対応策とは

(1)通院日記

認知症の初期段階は、いかに見分けるか、がポイントになります。脳梗塞や脳卒中、交通事故などの場合は医療機関で診察を受けますが、認知症が出てくる時間差がありますから、通院日記を書くことをお勧めします。

(2)糖尿病を患っている場合

また、糖尿病を患っている場合は、脳の血管が詰まりやすく、特に記録を付けることが大事です。

検査中の女性の医者


6)認知症への検査方法とは

(1)CTスキャン

認知症かな、と思った場合には 神経内科 に行きましょう。特に多いアルツハイマー型の場合、症例が集まっており、問診とCTスキャンで検査します。

(2)問診

問診は 長谷川式認知症テスト を受けます。これは広く知られているものなので、ネットや書物でも紹介されています。単純に 生年月日 や 簡単な計算問題、あるいは 桜・魚・電車 といった無関係なものを挙げ、リピートさせる問題などです。

(3)MRI検査

また、CTでも脳のどの部分が損傷しているのかがわからない場合、臨床心理士がいる 脳外科 に行くことになります。そこではMRI、あるいはRIといった検査と、臨床心理士による心理テストで、認知症のタイプを突き止めます。 

CTスキャンは健康保険扱いで、8,000円程度。MRIは11,200円から15,000円程度。RIは脳血流検査で、腕に造影剤注射をして、脳内に血流が流れているのかをサーモグラフィーのような画像で写すものです。また、一緒に匂いを感じるかどうかのテストも行います。費用は21,000円程度かかります。

(4)認知症の治療とは

認知症の治療法は、残念ながらありません。脳は体の動きを指令する場所ですが、司令官は、様々な推測や順序、方法などを瞬時に考えて実行するという、緻密な計算が必要です。

これらは脳内のどの部分が欠けても成り立ちません。人工軟骨や人工臓器、血管拡張などは次々と開発され、実際に体内で活躍していますが、認知症の場合は、既に手遅れである場合がほとんどです。


7)認知症の初期段階で家族が接するポイントとは

(1)行動パターンを記録

認知症と診断された場合、患者の年齢をまず考えてみることです。60代か70代かで、体力や気力の差は歴然です。まずは、認知症ではない家族に一人一人が、認知症患者が普段どういう行動をとっているのかを先回りすることが必要になります。

(2)否定をしないように心がける

自動車や自転車の運転を止める場合は、孫世代から助言してもらうなどの方法を取ります。認知症であることを当の本人は否認してしまう場合は、頑固になっているせいですから、できるだけ笑顔で接すること。それも家族全員が同じようにニコニコと接することが基本です。

(3)積極的な外出・社会的コミュニケーションを

また、一番やってはいけないのは、患者を自宅から出さない、という選択肢です。周囲の目を恐れて、外出させない家族、あるいは今後の不安から、うつになってしまう家族などが社会問題化しています。

要介護認定を受け、専門家にケアしてもらう体制を早く確立しておくのが大事です。それには、主治医との関係を厚くしておくことです。あまりにも多くの関係者に囲まれることで、患者は追い込まれて感情を爆発させることがあります。


8)認知症予防への日常生活でのポイントとは

(1)脳への適切な栄養補給

認知症はなぜ起こるのでしょうか。それは脳が原因ですから、脳に悪いことをしなければ認知症にはなりません。脳は新鮮な酸素、栄養、血流が必要です。

特に、糖尿病が原因で、脳内の血流が悪くなることはよく知られています。また、血管は運動不足でもろくなることもわかっています。

(2)血流の改善

体を動かすことは、新鮮な酸素を必要とし、老廃物と共に汚れた二酸化炭素を排出するのです。食べ物、水分、酸素を取り入れ、血管で全身に循環させるために、できるだけ歩き、そして便秘しないように、老廃物をするりと排出することが、認知症を避ける一番の方法です。


   


今回のまとめ

1)認知症とはどのような病気か

2)認知症の4つの種類と特徴とは

3)「物忘れ」と「認知症」の違いとは

4)認知症の初期・中期・重度の症状とは

5)認知症の初期段階ですべき対応策とは

6)認知症への検査方法とは

7)認知症の初期段階で家族が接するポイントとは

8)認知症予防への日常生活でのポイントとは