孫の手を引いて歩く祖父

現在、65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は推計で約15%といわれています。軽度認知障害を合わせると65歳以上の4人に1人が認知症とその予備群です。

今回は、増え続けるこの認知症の種類症状についてご紹介します。 


   


認知症の代表的な9つの種類!5つの予防習慣とは


1)認知症とは脳の神経細胞の急激な低下

認知症とは、脳の神経細胞が通常の老化による減少よりも早く消失してしまうことで、脳の働きの一つである認知機能が急激に低下するために起こる病気のことです。

さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が生じている状態のことを指します。 

65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は推計で約15%であり、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」を合わせると、65歳以上の4人に1人が認知症およびその予備群といわれています。 


2)認知症の代表的な9種類とは 

認知症にはいくつかの種類がありますが、おもなものとしては以下の4つが挙げられます。 

(1)アルツハイマー型認知症 

何らかの原因によって脳細胞そのものが変性し萎縮してしまう病気によるものです。認知症の中で最も多く、全体の約60%を占めています。男性よりも女性に多いこの病気は、徐々に物忘れが始まり、ゆっくりと進行していくのが特徴です。

古い記憶は比較的ありますが、最近の出来事を忘れることが多くなります。 

(2)血管性認知症 

脳の血管が詰まったり破れたりして血流が悪くなり、その結果、脳の働きが低下して起こるものです。

このような脳梗塞や脳出血が原因で急に認知症を発症する場合と、小さな脳血管障害を頻繁に起こしているうちに徐々に認知症が進む場合とがあり、これによって症状の違いが認められます。

なお、原因としては脳梗塞を多発した人が最も多く、70~80%を占めています。 

(3)レビ-小体型認知症 

アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。この認知症は男性に多く女性の約2倍といわれています。 

「レビ-小体」とは、神経細胞にできる特殊なタンパク質であり、この認知症ではレビ-小体が脳の大脳皮質や脳幹にたくさん集まってしまい、レビ-小体がたくさん集まっている場所では神経細胞が壊れて減少しているため、神経をうまく伝えられなくなり、認知症の症状が起こると考えられています。

頭がはっきりした調子の良いときと、ぼーっとしている時を繰り返しながら進行します。 

(4)前頭側頭型認知症 

頭部前方の前頭葉と横にある側頭葉の萎縮によって起こる認知症です。前頭側頭葉変性症の一つで、「ピック病」や「運動ニューロン疾患型」、「前頭葉変性型」がこの認知症に含まれます。

アルツハイマー型などと比べると患者数は少なく、原因などまだ解明できていないことが多いといえます。

一般的な行動から逸脱している場合が多く見られるため、精神疾患と誤診される場合があります。 

(5)若年性認知症 

65歳未満で発症したものをこう呼びます。そしてその若年性認知症は、原因が掴めているものと掴めていないものに分けられ、掴めているものとしては、「血管性認知症」が代表的なものであり(全体の約40%)、原因が掴めていないものとして「アルツハイマー型認知症」が代表的なもので、「若年性アルツハイマー」の患者数は、全国で10万人前後いるといわれています(全体の約25%)。 

(6)アルコール性認知症 

アルコールを多量に飲み続けたことにより、脳梗塞などの脳血管障害や、ビタミンB1欠乏による栄養障害などを起こし、その結果発症するといわれている認知症です。 

高齢者だけではなく若い人にも見られ、脳梗塞などはアルコール依存症がきっかけで脳のCTなどの検査を行って発見される場合があります。 

(7)正常圧水頭症 

頭の中でつくられる「脳脊髄液」は頭の中を巡ってやがて吸収されます。この脳脊髄液が異常に溜まってしまうことで障害をこす病気を「水頭症」といいます。 

水頭症には脳脊髄液の流れが止まって脳圧が上がるタイプと、吸収が悪くなることで障害が起こっても脳圧が上がりにくいタイプの2つがあります。

この脳圧が上がりにくいタイプが「正常圧水頭症」です。 正常圧水頭症には、「続発性正常圧水頭症」と原因がわからない「特発性正常圧水頭症」と呼ばれるものがあり、高齢者に多く見られるのは特発性で、認知症と診断された高齢者の5~10%にこの症状があると考えられています。

なお、この正常圧水頭症で起こる認知症は治療によって改善できる可能性があり、早期発見が重要といわれています。 

(8)まだら認知症 

まだら認知症は認知症の種類ではありません。次項に述べますが、血管性認知症では、もの忘れが目立っても判断力や理解力は低下しないなどの特徴があり、また、できるときとできないときが繰り返し起こることがわかっています。

これは、脳梗塞などによって脳の中に障害が起きている場所や正常な場所があるため、あるいは脳の血流の善し悪しで起こります。 このように、血管性認知症の「できたりできなかったり」する症状を「まだら認知症」と呼びます。 

(9)パーキンソン病 

脳内の黒質に異常が起こり、正常な神経細胞を減少させるため、そこでつくられるドパミンの量が低下して黒質から線条体に向かう情報伝達経路がうまく働かなくなった状態によるものです。

黒質でつくられるドパミンの量が正常な人の20%以下まで低下するとパーキンソン病の症状が現れるといわれています。

姿勢の維持や運動の速度調節がうまく行えなくなり、じっとしているときに手や足に「ふるえ」が現れることが特徴です。 

聴診器を持つドクター


2)代表的な4つの認知症の症状の違い 

(1)アルツハイマー型認知症の症状 

まず、「記憶障害」が挙げられます。忘れていることを忘れるのが特徴的です。判断能力も低下し、料理の手順がわからなかったり、片付け方がわからなくなったりします。

また、場所や時間がわからなくなるなどの「見当識障害」や「徘徊」、大事なものがなくなった、盗られたと家族を責めたりする「妄想」などの症状が認められます。 

(2)血管性認知症の症状

知的能力や身体能力の低下の程度にもムラがあり、記憶低下が顕著であるにもかかわらず判断力や理解力は変わらない、いわゆる「まだら認知症」になったりします。

また、些細なことで大喜びしたり激怒するなど、感情が強く出る「感情失禁」も症状の一つと考えられています。 

(3)レビ-小体型認知症の症状 

レビ-小体型認知症では、初期の段階でもの忘れよりも本格的な「幻視」が見られる場合が多いといえます。

「知らない人がいる」と言ったり、「遠くにいるはずの家族が帰ってきている」、あるいは「虫やヘビなどがいる」などと訴え、話しかけているような行動が見られます。

また、「誤認妄想」も見られやすくなり、まだ自分が小さい子どもと認識していたり、自分の家ではないと思ったり、家族の顔がわからなかったりします。 

(4)前頭側頭型認知症の症状 

前頭側頭型認知症では、人格的な障害がおもな症状として現れ、初期ではもの忘れなどの記憶障害が現れにくいことが特徴です。

不潔な状態でも平気になったり、同じ言葉や行動を繰り返す、あるいは興奮状態になりやすく暴力をふるったりすることが症状として認められます。 


4)認知症予防の5つの習慣とは 

(1)食習慣 

野菜や果物(ビタミンC、E、βカロチン)、魚(DHA)を摂取することが大切です。また赤ワインに含まれる「ポリフェノール」も予防に効くといわれています。 

(2)運動習慣 

適度に身体を動かすことが必要です。週3日以上の有酸素運動が最適といわれていますが、当事者に合った運動を心がけます。

(3)対人接触

人づきあいをして話したりよく笑ったりすることが必要です。 

(4)知的行動習慣 

本を読む、文章を書くといったほか、ゲームをしたり美術館や博物館などに行ってみることも有効です。 

(5)睡眠習慣 

1日30分未満の昼寝や、起床後2時間以内に日光を浴びることが有効と考えられています。 


   


今回のまとめ 

1)認知症とは、脳の神経細胞が通常の老化による減少よりも早く消失してしまうことで、脳の働きの一つである認知機能が急激に低下するために起こる病気のことである。 

2)認知症の種類としてはおもに「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症」、「レビ-小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」の4つが挙げられ、それ以外にも「若年性認知症」や「アルコール性認知症」などがある。 

3)認知症の4つの種類の症状には、それぞれに特徴が認められる。 

4)認知症予防の習慣として、「食習慣」、「運動習慣」、「対人接触」、「知的行動習慣」、「睡眠習慣」の5つを心がけることが大切である。