写真を手に取る老人

国内の認知症患者は452万人(2012年、厚生労働省調べ)。2025年には700万人を突破する、と推測されています。

65歳以上は5人に1人が認知症となり、家族の介護や社会的負担も大変になるでしょう。認知症の予防について3つに絞ってお伝えします。


   


認知症の2つの予防法!2種類の認知症とは


1)認知症の複数の障害のタイプとは

2004年(平成16年)のクリスマスイブに、厚生労働省は重大な発表を行いました。それは痴呆症と呼ばれていた認知障害患者一般を、認知症と変更して呼ぶようにというものです。

認知症とは認知障害を持つ人々を言いますが、その原因は細かく分かれています。認知障害の原因を解説しましょう。

(1)記憶障害

ヒトは、目や耳、鼻、舌など様々な部位で情報を捉えます。そのうち一番主だったものは目と耳、それは形や色、音といった具体的なものですから、しっかりした情報としてまとまります。

海にいるタツノオトシゴは別名、海馬と呼びますが、まさに形がそっくりなことが知られています。

この海馬は瞬間的な記憶をたくさん留め、長い文脈に変換することをしています。ですが、ストレス酸素不足でもろくなりやすいこともあり、加齢による疲労や血管を運ばれる酸素が欠如すると、記憶が途切れてしまう症状が出始めます。

記憶はできても、それがまとまらないことから、文脈にならない言葉の端々だけを口にだす障害が特徴です。なお、認知症と診断される場合は、記憶障害は必ず診断認定されます。

(2)失語、失行、失認、実行機能の障害

認知症と診断される患者は、記憶障害とそれ以外の4つの障害を持っており、そのために社会生活や職業機能が著しく低下してしまいます。

・失語

大脳の左脳部分にダメージを抱えた場合に言葉が出ない状態が生まれます。脳卒中でこのような状況が多いのが特徴です。

・失行

腕や指先は動くのにもかかわらず、洋服のボタンをはめることができない、入浴の前に裸になることを忘れてしまう、といったことを言います。主に前頭葉にダメージを負った場合にこうした障害が出てきます。

・失認

俳優のブラッド・ピットが告白したことから知れ渡ったのが、失認です。これは古くはレオナルド・ダ・ヴィンチやエジソンも同類といわれており、今見ている光景の一部だけが頭に入り、その大部分が欠落してしまうことを言います。

原因は脳梗塞、脳腫瘍と外傷によるものです。なお、これは世界の人口の2%が該当する、と言われています。

・実行障害

別名、遂行機能障害とも言います。料理がよい例ですが、様々な道具や材料、調味料を用意して段取り良く行うことが、全くできないため、お湯を沸かしたまま皿を用意したり、冷蔵庫を開けたり閉めたりして、一向に料理が進まないことを指します。

アルツハイマー型認知症の典型的な症例ですが、外傷でもなりうることが知られます。


2)2種類の認知症の原因とは

認知症は、様々な障害一つひとつをいうのではありません。中核症状と言われる記憶障害と、それ以外の4つの障害が並行して、日々の生活で支障が出る状態を言います。その代表的なものを2つに絞って列記します。

(1)アルツハイマー型認知症

ドイツ人医師、アルツハイマーの名がそのまま症名になったものです。認知症の50%がこれにあたり、海馬のある側頭葉に病変が起こることから、まず記憶障害が発生します。

これは10年20年と待機時間があってから、頭頂葉が萎縮し、だんだんと後頭葉へと萎縮が進んでいくうちに認知症が進みます。

脳の萎縮とは、脳にある140億個もの神経細胞(ニューロン)が壊れていくことを言います。神経細胞のさらに10倍ものグリア細胞(数千億個ある)という組織が神経細胞を維持し、壊れた部分を再生します。

神経細胞を作る成分は蜂蜜などに含まれるグリコースです。これが欠乏すると、細胞が壊れると推測されていますが、その原因はわかっていません。

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(2)レビー小体型認知症

日本人医師、小阪憲司らによって発見された認知症例です。神経細胞にレビー小体、という異常なタンパク質が増えることが原因です。

タンパク質といえば、牛ヒレ肉や豚ヒレ肉、鳥のもも肉やささみ、あるいは鮭や鯖の切り身100gに対し20g前後含まれている栄養源。

筋肉をつけるだけでなく、ダイエット効果の高いことで知られます。これらのタンパク質が、レビー小体に取り憑かれてしまうと、神経細胞が少しずつ剥がれ落ちてしまいます。

問題なのは、これが大脳の脳幹と呼ばれるところに侵入されてしまうことです。脳幹は首から脳の中心にかけての部分で、睡眠から、呼吸、ホルモンの分泌、体温の調整、自律神経、血圧の調整など、いわば健康体を維持するための中枢です。

見る、聞く、体を動かすといった高次機能は、全てここでコントロールされるため、レビー小体タンパク質が増加すると、まず睡眠障害が現れます。

常に他人を悪人呼ばわりしたり、泥棒扱いする、あるいは幻覚といった症状が発生するため、認知症例とすぐに判定できます。

その後、パーキンソン病によくある手足の震えや、体を動かさないなどの症状が出てきます。アルツハイマーと違う点は、日によって正常だったり、症状が激しかったりを繰り返しながら、悪化していくということです。


3)認知症の2つの予防ポイント

さて、認知症と診断され、精神科病院に入院した場合の罹患余命は、平均5年。つまり、認知症はある意味で、ガン同様に生存率が低い病気なわけです。

そして、最近は40代や50代そこそこから始まる、若年性認知症患者が増加しています。大事なのは、予防ですが、とても身近なところにヒントがあるのです。

 (1)1日1回の排便

認知症になった高齢者で、便秘になる割合は非常に高く、その結果周囲の人たちに怒り出したり、罵声を浴びせたりする傾向があります。

便秘は健康な人でさえつらい状況。単に便が腸内に溜まっていくだけでなく、腸の壁をすり抜けて、血管に発ガン物質、発ガン促進物質、アンモニア、硫化水素などの有害物質が入り込み、体内を回ってしまいます。

アンモニア水溶液は、虫刺され外用薬の成分となりますが、毒性が強いことで知られています。そのため、脳に回っていくと、脳を萎縮させます。排便という行為そのものは筋力を伴う生理現象ですが、体力が落ちていることが、結果的に便秘につながることがあります。

繊維質のものを多く食べる、水分を必ずとるといった食生活も大事ですが、健康のために運動をする、歩くという目標では、なかなか認知症予防になりにくく、習慣としていく人は少ないでしょう。

ですが、便秘をしないように、食べ物に気をつける、筋力を保つと考えれば、結果として認知症予防につながるのです。

(2)神経質になり過ぎない

認知症に関して、薬や針治療、あるいは運動療法に食事療法などが予防対策としていい、ということが言われています。

ただ、薬の場合ははっきりと脳のどの部分に効くのか、どういった感情に制御できるのかを狙い撃ちすることは不可能です

例えば、ドーパミンというやる気と活性化の源を放出させるための薬を飲むことで、脳の血流は良くなりますが、それを続けていると、麻痺して中毒症状になってしまいます。

認知症になった脳をどうこうすることは、現代の医学では不可能です。ですが、予防と認知症の進行を遅くさせることはできます。

それは実は、ヒトとしての本能を維持させることです。例えば男女のときめき感は、脳の活性化の一番の基本です。また、趣味を欠かさないこともときめきですし、金銭上のトラブルとは無縁な趣味仲間がいれば、ときめきといえるのです。

このように、認知症は脳機能の変化による副作用、と捉え、そうならないために神経質になるよりも、1日24時間の中で、自分が満足出来る瞬間を重ねていくことだけで、十分予防になる、と考えたほうがよいのです。


   


今回のまとめ

1)認知症は高齢者の5人に1人、という現実

2)記憶障害をはじめ、幾つかの障害が重なって認知症と診断される

3)認知症の中で、一番多いのがアルツハイマー型、次がレビー小体型

4)パーキンソン病から認知症を患うことがある

5)認知症予防は2つ。毎日の排便とときめき感をもつこと

認知症は単なる物忘れやボケとは異なります。またアルツハイマー型の場合とレビー小体型では、脳の断層画像ではっきりした違いが出てきます。

脳を知ることは、自分の健康度合いを知ることでもあります。定期検診でCTや MRIによる脳の画像診断を受け、ぜひ認知症予防のためにも楽しい日々を過ごしていきましょう。