病院でリハビリテーションする男性

脳には無数の血管が通っています。直径0.5mmの血管はを流れる血液は、栄養素や酸素を運びますが、加齢による血管の老化によってその内側に様々な詰まりが生じてきます。

結果血流が悪くなり、壊死してしまうことで起こる脳梗塞は、死に至る可能性もある病気です。

今回はこの脳梗塞について原因リハビリ方法をお伝えします。


   


脳梗塞のリハビリの3段階!5つのポイントとは


1)脳梗塞とは何か

脳梗塞は、脳の中を無数に走る血管に詰まりが生じたことを言います。脳の中は外から見ることはできませんので、いきなり倒れたり、意識を失ったりすることで、脳の異常ではないかと推察するしか方法がない、厄介な病気です。

(1)早期の検査・異常発見がとても大切

日本人の三大疾病は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞です。脳卒中は文字通り、脳の疾病であり、脳内の血管が詰まるか破れることで、引き起こされる症状を指します。

下水道の菅が詰まると、水が流れなくなり逆流して噴き出してきますが、まさに、血管の詰まりも同じようなことが起こります。

下水道の場合は、個人個人の家から汚水が流されますが、仮りに東京都民1,200万人が一斉に洗濯や風呂洗い、トイレ汚水などを流すことはありえません。

ところが、1,200万人の人間の血管は起きていても寝ていても、常に血液が流れており、少しでも詰まりが起こると栄養や酸素不足になり、いく先々の細胞が死んでしまうことがあります。

つまり、こうしている間に、都内で10人、20人と脳血管の詰まりで刻々と危ない状態になる人が出ているのです。

(2)左右どちらかの半身麻痺

この詰まり、を脳梗塞といい、死んでしまった細胞の影響で、左右どちらかの半身が麻痺状態になったり、寝たきりになってしまう弊害が現れます。

脳ははっきりと右部分と左部分で役割が分かれていますから、脳内のどこの血管が詰まったかで、障害の状況がはっきりします。

脳梗塞が早いうちならば、血管の詰まりを流してしまって、血管自体を広げること手術が可能です。この場合は完全に後遺症なしで普段通りの生活が可能です。

早期に、脳梗塞の可能性があるかどうかを発見するには、脳ドックしかありません。CTやMRIといった器械で脳の断層画像を撮影し、脳内の血管異常があるかどうかで判断できます。

幸い、日本中の脳外科病院では脳ドック診断が可能ですので、40歳、50歳、60歳と年齢にキレがよいときに受診すると安心です。

MRI machine is ready to research in a hospital


2)脳梗塞発症後の3段階のリハビリテーション

脳梗塞の医療的なリハビリテーションは3つのステップに大別されます。

(1)急性期(脳梗塞発症~2-3週間)

一般に病院で行われるものです。この頃のリハビリは症状の中でも最も力を費やす期間と考えられます。

専門用語では、麻酔などによる筋力の低下などの廃用症候群(はいようしょうこうぐん)を防ぐことを目的にリハビリが行われます。

具体的なリハビリは、寝たきりの状態から全身の体位移動、体位変換、手足、指先を動かすリハビリなどが行われます。

この時期はどの患者さんも初体験であり、精神的にも体力的にも辛い時期と言えるでしょう。 周りの方は身体だけでなく、心の面のバックアップも非常に大切になります。

(2)回復期(脳梗塞発症~4-6ヶ月)

一般にリハビリ病棟や専門治療院にて行われるものです。

病院からリハビリの施設への転院が通常のパターンです。地域やタイミングによっては治療院が満室の場合も考えられます。

発症時に通った病院がリハビリ施設を保有しているかを確認してみましょう。保有していない場合、病院側への相談を試みてみましょう。

回復期のリハビリには主に2種類あります。

・運動訓練

歩行器や杖を活用して歩く訓練を行います。最初は付き添いの方に寄り添ってもらいながら歩行を始めていきます。日常生活でも不可欠なものが歩行ですので、回復期には重点的に行われます。

・作業療法

麻痺している体を通常に戻していく療法となります。具体的には、ベットに横たわっている状態から上体を起こす訓練や、上体を起こした後座る訓練、歯磨きや、洗面、着衣、入浴、排泄など生活全般の作業を実際に付き添いのもと行っていくリハビリテーションです。

脳梗塞の場合は、例外の場合を除き、受診できる上限は最大180日間と定められています。患者さんと専門のスタッフはこの半年間の間で、

日常の生活水準に戻す努力を続けることとなります。

脳梗塞には「6ヶ月の壁」と言われるほど、この6ヶ月までの回復・リハビリテーションがその後の人生にも大きく影響すると考えられています。

6ヶ月までに、なるべく早く適切なリハビリテーションを行う事により、後遺症の大小にも変化が生じます。

もちろん焦りは禁物ですが、医師や専門スタッッフの方との相談を綿密に行いながら、素早いリハビリテーションを意識してみましょう。

(3)維持期(脳梗塞発症~6ヶ月以降-)

180日間を過ぎた回復期に入ると、日常生活を行いながら続ける在宅リハビリとなります。

この在宅リハビリは、ほとんどの場合ご自身の生涯に渡って続けられるものと捉えましょう。身体の維持を目的として、後遺症予防や改善として行われます。

維持期のリハビリは日常生活を自分自身の力で行っていくようにする事が大きな目的です。

朝起きて、洗面、着衣、料理、洗濯物、お風呂、掃除、睡眠など、一般的な生活を実際に行っていきます。

麻痺が残っている状態では、この日常の作業も困難に感じる方も多くいらっしゃいます。個人差がもちろんありますので、このような場合は、自宅自体を手すりを付けたり、段差を減らす試みをするなど、環境そのものを変えるリフォームを考えられることも1つの案です。

またこの時期は一人で難しい場合には、介護保険・医療保健で活用できる訪問リハビリや通所リハビリの専門サービスを用いながら、在宅でリハビリを行うのが通常となります。

医者と女性の患者


3)脳梗塞のリハビリ5つの注意ポイント

残念ながら、脳ドックの検査が間に合わず、いきなり風呂場やトイレで倒れてしまったり、椅子から立ち上がろうとして、よろめいて意識がなくなった場合は、既に脳内で異常があることを示します。

もし、麻痺が残った場合のリハビリについて紹介します。

(1)脳梗塞は麻痺状態が自然

脳梗塞の後遺症は麻痺状態を認識することから始まります。不思議に思うかもしれませんが、体の右半分と左半分が真っ二つに分かれるようにどちらかが麻痺状態になります。

右半身が麻痺になった場合、右目が見えないことから、右半分の視界がないこと、口の右側からよだれや食事をこぼすなどの症状が出ます。

歩く時にどうしても片足が動きづらいので、脳梗塞の後遺症がはっきり認識できるでしょう。問題は、20代、30代、40代といった若年での脳梗塞患者の場合、人生を悲観してしまうケースが出てきます。

若い人の場合は、全く持病がなく、いきなり職場復帰ができないどころか、中には後遺症が元で離婚につながるケースもあります。

精神面でのケアは、患者の年齢によって、非常に細かく支えることが必要になります。

(2)リハビリはなるべく同じ境遇の方と一緒に

リハビリは、作業療法士が付き添いで行いますが、脳梗塞の患者の多くは、高次脳機能障害も併発していることで歩きたがらない、面倒くさくなりテレビばかり見てしまう、などの悪弊が出てきます。

高次脳機能障害とは認知、行動の順番、記憶など考えたり、先を読んだり、視界にあるものを受け止めるといった高次元な機能が欠損していることを指します。

そのため、片手が麻痺していることで、箸が使えず食べることができなくなることで、急に怒り出したりすることがあります。

我慢や辛抱ということができなくなるのも、高次脳機能障害の特徴です。ですから、リハビリは自宅ですぐに行うのではなく、同じような境遇の患者の中で行うのが一番です。

(3)患者さんの自信を取り戻してあげるサポートを

リハビリで大事なのは脳梗塞患者に自信を取り戻させることです。人間は他人よりも優位に立ちたいものです。

他人よりも早く動けるようにうまく勧めるのがよく、とにかくちょっとでも動かせたら褒めること。やっぱりお父さんすごいねえ、と褒めてあげましょう。

持病がある場合は、既にその病気と戦っていますので、自分の体が年を取ってきていたり、運命なのだ、と考えるようになります。

ですが、やはり精神的なショックはある程度ありますので、前向きな言葉が良いのです。脳梗塞は死亡率の高い病気ですから、助かってよかったね、という言葉をなんども重ねましょう。

(4)バリアフリーの環境を減らしていく

大概は、バリアフリーにする方がリハビリによい、と考えられています。ですが、現実は逆なのです。

脳梗塞になって初めてわかるのは、普段何気なく歩く道路の段差が、これほど大きいものだったのか、という実感です。

階段の手すりがなければ上り下りはできないですし、杖があることが本当に大事ということもわかります。ただ、バリアフリーというのは病院や家の中だけであって、家から一歩出ると、すぐに普通の世界が待っています。

つまり、一般社会ではバリアフリーはありえません。そのため、多くの人が家から出ることに抵抗感を抱くようになります。

それは外で交通事故に遭うのではないか、転んで怪我をするのではないかといった恐怖心であったり、世間から阻害されているような鬱状態であったりするのです。

特に、持病がなく、突然脳梗塞だけになってしまった場合、ショックは非常に深く大きいものがあります。

死んでしまいたいという欲求を口に出し、家族からも嫌がられるようになってみたり、パニック障害になってしまう人も大勢います。そのため、リハビリには、本人の生きる自信を付けさせる何かを見つけなければなりません。

この判断から、敢えてバリアフリーをせず、段差のあるいつも通りの生活を続けることが本当はよいのです。

自分も世間の一部であって、一つ一つ元の生活に戻れるんだ、という成果が上がれば、自信がついてきます。それには脳の機能回復について知ることです。

(5)道具やグッズの活用もしてみる

脳はどこかの機能が欠損してしまっても、それを補う機能が新しく出てきます。道具を使ったり、話し方を変えてみたり、様々な工夫が脳機能の回復の一部です。

ですから、できるだけアイデア商品などを探し出して使ってみましょう。道具を使うことで、麻痺しているはずの手が使えるようになることもよくあります。


   


今回のまとめ

1)脳梗塞は、脳血管の詰まりが原因で、血流が少なくなり、脳細胞が壊死する状態。

2)脳梗塞になると、高次脳機能障害になるケースが多い。その場合は性格が変わることもある。

3)リハビリは精神的に支えること、生きる自信を付けさせることが大事。 

4)あまりバリアフリーにさせることで、家から出たがらない場合もある。