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日本脳炎とは、夏場に聞かれる病名のひとつですが、21世紀に入った現在は、日本でそれほどメジャーなものではありません。

ですが、ウイルス感染してしまう疾病であり、脳内にウイルスが到達することで、重篤な状況になる危険性があるのです。今回は日本脳炎の予防接種の副作用は対処方法などをお伝えします。


   


解説!日本脳炎の予防接種3つの副作用とは

1)日本脳炎とはどのような病気か

厚生労働省 国立感染症研究所によれば、日本脳炎は コガタアカエイカと呼ばれる、体長約5.5mmの蚊が夜間にヒトに吸血ことで、感染するウイルスが原因で起こる疾病です。

コガタアカエイカは、文字通り体の色が灰褐色で、腹や背の部分が橙色をしています。

日本には112種類いる蚊のなかでも、特に注意が必要なのは、犬の感染症である犬糸状虫症、通称フィラリア症を媒介することでわかる通り、非常に身近なところで活動する蚊であることなのです。

(1)養豚農家近くでは、蚊に注意する必要がある

コガタアカエイカは、豚に吸血し、それがヒトにも吸血しますので、結果的に日本脳炎を連れてくるわけです。

感染された場合、頭痛・嘔吐・めまいなどが表れ、腹痛や下痢症状が発生します。小児の場合は けいれん が続き、大人の場合は上半身で麻痺が起こることが確認されています。

(2)実は死亡率が高く、後遺症もある

ワクチン接種が唯一の予防対策となります。怖いのは、その死亡率です。

幼少児や老人では感染者の20%から40%に及び、もし助かっても、45~70%の人にパーキンソン病様症状やけいれん・麻痺・精神発達遅滞・精神障害などが後遺症として残り、小児は特に重い後遺症を持つことになります。

日本脳炎という名前は、1935年に日本でウイルスが確認されたことから命名され、今ではワクチン接種で感染を食い止めることができます。

日本では北海道を除く本州以南で、コガタアカエイカが越冬できるとされており、日本脳炎のワクチン接種が行われています。


2)日本脳炎の代表的な2つの症状とは

日本脳炎は、老人が感染するとパーキンソン病のような状態になるため、加齢症状と勘違いされることも少なくありません。

また、日本では年間10例ほどしか確認されていないため、医師の間でも日本脳炎症例を知らない医師が多数いますので、大学病院などで診察を受けるのが大事となります。

また、後遺症が重くなりやすい小児の場合は特に症状に注意しなければなりません。ここでは2つの点を列記します。

(1)高熱・吐き気・めまいが続く

徳島大学病院の神経内科医である竹内俊明医師は、2013年に日本脳炎の患者を臨床しています。

医師によれば、神経内科で受診する多くの人は、頭痛やめまいなどから、ヘルペス脳炎や結核などを疑うのですが、ウイルス感染特有の症例は血液検査、つまり血清を調べなければなりません。

血清とは、血液が固まったときに現れる上澄み部分をいい、血液型判定にも使われます。この血清はウイルスなどの抗原が体内に侵入した際に、抗体という防御壁がどの程度あるのかを調べる素にもなります。

抗体の度合い、つまり抗体価が高くなれば、それだけウイルスが侵入した証明になります。

40度もの高熱やめまい、吐き気の原因は脳内の血液の流れに非常に大きく関係します。ですから、風邪と疑わず、神経内科で診断を仰ぐ他はありません。

(2)けいれんが続く

けいれんは、神経の疾患と考えられますが、日本脳炎の場合も、神経細胞の破壊がその原因と言われます。

特に上半身、それも両腕が細かく震え、体全体の筋肉が固まってしまい、麻痺症状やごく稀に意識症状があります。また、光に対して過敏になるなどの特有な症状が起こります。

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3)日本脳炎の代表的な原因とは

日本脳炎の原因は、豚の体内でのウイルス増幅です。ウイルスが体内で増えてしまうと、豚自体も異変があると思われがちですが、実際には母豚が妊娠中には変化はありません。

むしろ、死産が多かったり、ミイラで生まれていたりというケースが増えれば、脳炎が推測されます。

実際に豚からコガタアカエイを介して、日本脳炎ウイルスに感染するのは、ヒトや鳥ですが、豚をそのまま食用しても、脳炎にかかることはありません。

理由は、脳炎ウイルスを持つ部分は胎盤などに限られていることと、豚は生後8ヶ月で食用として殺処分されてしまうことなどです。


4)日本脳炎の予防接種の2つのスケジュール(期間)とは

日本脳炎の予防接種は、感染しないための唯一の方法です。通常は、幼児期から小学校卒業期までの間に合計4回接種することになっています。

(1)第1期:生後から4歳まで

初回接種は2回です。生後6ヶ月から3歳までの間に接種します。そのあとに、追加接種が1回あり、初回接種から1年後、4歳前後に接種します。

(2)第2期:小学校期

9歳から13歳未満時に一回接種します。


5)日本脳炎の予防接種の期待できる効果とは

日本脳炎が、なぜ予防接種でしか炎症を食い止められないか、というと、ウイルス感染後、脳内で神経細胞を破壊してしまう結末が物語ります。

つまり、脳内の損傷は再び元どおりにすることはあり得ないわけで、脳内のどの部分の神経細胞が破壊されるかで、どのような後遺症が起こり、それが一生続くことが解明されているからなのです。

ですから、予防接種で知られる 麻疹=はしか、水痘=みずぼうそう、おたふくかぜ、インフルエンザなどは、抗体を体内に作ることで、感染しても防御できる力を持つのです。


6)日本脳炎の予防接種の種類と2つの特徴とは

日本脳炎の予防接種には、副作用がある、という実例が報告されています。急性散在性脳炎、という難解な疾患が2005年に日本国内で広く報道されました。

これは、日本脳炎の予防接種を受けた当時14歳の女性が、副作用で罹患した症例です。

ADEMと呼ばれる、この症例では、脳障害を引き起こすことがわかり、予防接種そのものの安全性が問われました。ここでは、現在ある2種類の日本脳炎ワクチンを紹介します。

(1)乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン・ジェービックV

現在使用されているのは、まず、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン・ジェービックVです。平成21年6月2日より国内供給が始まっています。

製造方法は 日本脳炎ウイルスをVero 細胞=アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞 で増殖させ、得られたウイルスを取り出して、ホルマリンで感染性を失くす仕組みに変えて、製造されました。

(2)乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン・エンセバック皮下注用

もう一方が エンセバック皮下注用 です。製造方法や特徴はほとんどジェービックVと変わりませんが、平成23年4月から供給されています。

なお、この2種類は日本国内の製薬会社、研究所では以下の 化血研、阪大微研、田辺三菱、武田、アステラスが扱っています。

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7)日本脳炎の予防接種の3つの副作用とは

ワクチン接種による副作用については、厚生労働省が 予防接種後副反応報告書 という文書で一般公開しています。

平成22年度=2010年度単年度の報告数によれば、国内の日本脳炎ワクチン接種数は約500万人に対し、148件の副反応、つまり一般的に言われる 副作用 が記載されています。ここでは副作用を3つに分けて列記します。

(1)アナフィキラシー・じんましん

接種後即時に全身反応があるケースに、アナフィラキシー と 全身じんましん の症状があります。アナフィキラシーの症例は1例、麻疹では、24時間以内が4例、3日以内が1例報告されています。

アナフィキラシーでは、皮膚のかゆみといった症状に咳といった呼吸器の症状、そして腹痛や嘔吐症状に加え、血圧低下などもあります。また、急な血圧低下では意識を喪失するショック症状となります。

(2)脳炎・けいれん・運動障害・急性散在性脳脊髄炎=ADEM

脳炎の症状は、両腕のけいれんや40度の発熱、吐き気、嘔吐、意識障害やめまい、言語がしどろもどろになる障害、記憶障害、ふらつき、会話や手足の反応が極度に鈍くなる、寝てしまって起きない、といった症状があります。

特に、意識障害では、興奮状態が続いたり、怒りっぽくなる、倦怠感などが顕著になります。

(3)血小板減少性紫斑病

皮膚や粘膜等の出血症状が特徴です。例えば、紫斑=しはん や 青アザ が皮膚に現れて来るだけでなく、黒い便や血尿、月経不順や、歯茎からの出血などが現れます。

こうした状況から、どういった疾患なのかわからずに、そのままにしておく患者も見られます。


8)日本脳炎の検査方法とは

(1)年間10人ほど

日本脳炎は、年間10人ほどしか罹患していないのが、現在の日本の状況です。ですが、実際には1,000人以上の人が西日本を中心に感染しており、抗体があることからウイルス感染せず収束しているのが現状、と言えます。

(2)血液検査・血清検査

そのため、だるさや発熱、吐き気といった状況から最終的に神経内科で血液検査を行うことで、そのウイルス感染にたどり着くことができます。

上記に述べましたが、血清抗体価が高いことがわかれば、ウイルス感染がわかります。要は、体内に入ってきたウイルスに対して、血液がどのような反応を示しているのかがわかれば、感染力や感染度がわかる、結果的に日本脳炎と判明するのです。

血清の検査では、感染した時期の急性期と回復期で両方の血清を採取し、抗体価が4倍以上差がある場合に感染認定しています。

このような検査には中和試験などと呼ばれるものなど、数種類存在します。場合によっては、脳内の細胞を採取することも行います。

これは鼻腔から脳底穿刺という方法で、脳内のわずかな部分を取り出し、ウイルスRNAという方法で検出します。ウイルスは、血液を採取しても、その有無は判定できないのです。


9)日本脳炎の治療方法とは

日本脳炎の場合、現在治療方法はありません。厚生労働省の指針によれば、高熱とけいれんを抑えるための処置を行うことで、予後の生活を安定させること、というのが第一です。

大量ステロイド療法というものもありますが、ステロイド投入による副作用のほうが、死亡率や後遺症の高さが顕著なため、処方することは勧められません。


10)日本脳炎へ未然にできる予防ポイント

予防とは、すべての病気に共通するものです。まずは、体力をつけること、栄養のある食生活を続けること。もう一つは蚊に刺されないような環境対策です。

九州や四国を中心に、蚊に刺されないことが予防の大前提、と言われますが、もう一つは蚊を増殖させないような環境を作ることです。

夏場の高温と湿気のある状態をなるだけ屋外に作らないためには、雨水の溜まる場所を作らないこと、水田や沼地に近づくときは肌を露出させないこと、水たまりの場所をなるだけ減らすことなどがあります。

予防接種に関してですが、副反応=副作用が絶対ないわけではない、ということも知っておくことです。

幼児期に接種する三種混合といわれる予防接種同様、まずは食生活に気をつけて、丈夫な育て方をして、接種に望むかどうかを判断されるべきでしょう。


   


今回のまとめ

1)日本脳炎とはどのような病気か

2)日本脳炎の代表的な2つの症状とは

3)日本脳炎の代表的な原因とは

4)日本脳炎の予防接種の2つのスケジュール(期間)とは

5)日本脳炎の予防接種の期待できる効果とは

6)日本脳炎の予防接種の種類と2つの特徴とは

7)日本脳炎の予防接種の3つの副作用とは

8)日本脳炎の検査方法とは

9) 日本脳炎の治療方法とは

10)日本脳炎へ未然にできる予防ポイント