MRIの検査結果について話し合う医師

頭痛が無いから脳梗塞ではないだろう、手足の麻痺が無いから脳梗塞ではないだろう、そう考えている人はいませんか。

脳梗塞の中には、手足に麻痺が出ない場合もあります。今回は、脳梗塞とその治療方法について説明します。


   


脳梗塞の5つの治療方法!6つの予防法とは


1)脳梗塞の3つのタイプとは

脳梗塞とは、何らかの原因で脳の血管が詰まり、脳細胞への酸素・栄養が途絶えることにより、脳の活動が障害されることです。

脳梗塞は中高年の病気と考えている人もいますが、ある条件が重なると20歳代の人にも起こります。脳梗塞には3つのタイプがあります。

(1)心原性脳梗塞

不整脈により心臓の中に血の塊ができて、それが脳へ流れて行き動脈が詰まってしまうタイプです。比較的大きな部分の脳に障害を起こしますから、明らかな手足の麻痺が出ます。

(2)アテローム血栓性梗塞

動脈硬化などで脳の動脈の壁が狭くなっている場所に、血栓が詰まって起こります。手足の麻痺は出ない場合もあります。

(3)ラクナ梗塞

動脈硬化により脳の細い血管が詰まってしまうタイプです。

脳のあちらこちらに多発することが多く、手足の麻痺は出ない場合もありますが、ふらつく・怒りっぽくなる・すぐに泣く・物忘れ・うつ状態になるなど、認知症の症状をきっかけに発見される場合があります。


2)脳梗塞の8つの予兆

脳梗塞は、はっきりとした症状が出る前に、前兆・予兆となる症状が出る場合があります。一過性脳虚血発作(TIA)というもので、症状は5分から30分程度続きます。

しばらくすると症状が無くなるので気に留めない場合がありますが、実はこれが脳梗塞の予兆なのです。

(1)表情が作れない

顔の表情筋を動かす神経に、障害が起こっています。「イー」と言ってもどちらかの口角が上がらないこともあります。

(2)口が動きにくい・唇がしびれる

これも(1)と同じ理由です。

(3)言葉がいつも通りに話せない

顔面と舌を動かす神経に障害が起こるので、ろれつが回りにくくなります。

(4)手・腕の力が入らない・手がしびれる

利き手なら箸やスプーンを落とす、箸が上手く使えないということが起きます。

(5)目がかすむ・片目が見えにくい

モノが正しく見えるためには、眼から入る情報が脳の中で正しく認識される必要があります。脳の画像を認識する神経が障害されると、見えにくさになります。

(6)話しは聞こえるが理解できない

脳の中には言葉を理解するブローカー野という場所があり、その部位の血流が途絶えると、聞き慣れた言葉でも理解できなくなることがあります。

(7)足の力が入らない・足がしびれる

片方の足の力が入らない、膝の曲げ伸ばしができないなどの症状が出ます。

(8)ごく短い時間、意識がうすれる

意識がもうろうとしたり、発作が起こっている時間の記憶がなかったりします。


3)脳梗塞の8つの症状とは

(1)意識障害

完全に意識を失ってしまう場合やボーっとしている場合があります。話しかけてもすぐに眠ってしまうのも、意識障害の状態です。

(2)片方の手や足の麻痺(片麻痺)

どちらの手や足が麻痺するかは、脳の中の左右どちらに梗塞が起こったかによります。脳の中心近くで梗塞が起こった場合には、明らかな麻痺ではなく動作のしにくさや歩く時のバランスが悪くなるなどの、運動失調という症状が起こることもあります。

(3)片側の手足や顔の痺れ

手足は動くけれども痺れるという場合もあり、これも脳の神経が障害されているためです。

(4)失語症

ヒトは、言葉を認識する、正しい言葉を選ぶ、言葉を口に出して発声するという、全てが適切に行われて「話す」ことができます。

「言葉を話す」を担当している脳の部分は、ブローカー野とウエルニッケ野で、そこが障害されると失語症になります。

(5)モノが二重に見える(複視)

見たものを画像にする神経は、1つの眼に対して左右2本の神経に支配されています。そのために、左右どちらかの視覚野の神経が障害されると、焦点が合わなくなり二重に見えます。

(6)飲み込みにくくなる(嚥下障害)

飲み込むというのは、たくさんの神経により複雑な筋肉が見事に連携して、上手く飲み込めています。手足の麻痺が軽くても、飲み込みにくくなる場合があります。

(7)麻痺側の空間を認識しない

これも視神経・視覚野の障害によるものです。まるで、どちらかの世界が存在しないかの様に振舞います。

(8)記憶障害・認知症の症状

物忘れや思い込み、理解力の低下などが現れます。怒りっぽくなったり些細な事で泣いたりするようにもなります。

Doctor talking to his female patient


4)脳梗塞の5つの治療方法とは

脳梗塞かなと思ったら、急いで病院に行くべきです。脳梗塞の治療は、症状が出現してから治療が開始されるまでの時間で、有効な治療方法が異なるからです。

(1)経静脈血栓溶解療法(t-PA治療)

発症から4時間30分以内に行える治療です。薬剤名はアクチバシンやグルトバなどで、点滴注射で投与されます。

(2)動脈内血栓溶解療法

発症から6時間以内に行える治療です。足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を脳の血管まで入れて、血栓を溶かす薬を入れます。

(3)血管内治療

発症から8時間以内に行える治療です。脳の動脈にカテーテルを入れて、血栓にらせん状の針金を刺し込み、コルクを抜くように血栓を取り除きます。

同じくカテーテルを入れて、血栓を吸い取ってしまう方法もあります。

(4)抗血栓療法

点滴注射や飲み薬で、血液をサラサラにして血流を良くします。

(5)リハビリテーション(理学療法)

発症から数日で開始します。明らかな手足の麻痺が無くても、リハビリテ―ションは必要です。


5)脳梗塞の6つの予防方法ポイント

(1)脱水症を予防する

若い人が脳梗塞になるきっかけには、脱水症による場合が多く見られます。もちろん、全ての年齢で脱水症は脳梗塞の原因になります。

(2)生活習慣病を予防する

肥満症・メタボリックシンドローム・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病は、血管の動脈硬化が進みやすいので、これらを予防・治療することで脳梗塞も予防できます。

(3)不整脈のある場合は受診する

危険な不整脈とそうではない不整脈があります。医師に相談しましょう。

(4)禁煙

タバコを吸うと、血管を著しく収縮させます。動脈硬化や脱水症で、血液がドロドロになっているときにタバコを吸うと、血管が細くなり脳梗塞になってしまいます。

(5)アルコールは適量で

酒は百薬の長と言いますが、やはり、過ぎたるは及ばざるがごとしです。

(6)ストレスや疲労をためない

ストレスは自律神経の失調を起こし、血圧を上げる・活性酸素を増やすなどで血管を傷つけます。


   


今回のまとめ

1)脳梗塞とは脳の血管が詰まって起こる病気で、3つのタイプがあります。

2)脳梗塞の予兆は一過性脳虚血発作で、短時間で回復しますが見過ごしてはいけません。

3)脳梗塞の症状は、脳の障害された場所によりいろいろな症状がでます。

4)脳梗塞の治療方法は、発症から治療開始の時間によって選択される。

5)脳梗塞の予防方法ポイントは、生活習慣病を防ぎ血液をサラサラにしておくことです。

以上が今回の記事の内容となります。今回の記事で脳梗塞を発症する人が少なくなれば幸いです。