資料と聴診器

「脳梗塞」はいつ発症するかわからない病気です。ただ、発症する人は高血圧や糖尿病などの危険因子を持っている人に多いことがわかっており、日常的な生活習慣に注意しておくことこそが大切です。

今回は脳梗塞の原因や予防、治療方法などについて御紹介します。


   


脳梗塞の5つの原因!3種類の違いとは


1)3種類の脳梗塞

「脳梗塞」とは、何らかの原因で脳の血管が詰まったり、脳の血流が正常の1/5~1/10くらいに低下して脳組織が酸素欠乏に陥り、その状態がある程度の時間続いた結果、その部位の脳組織が壊死(梗塞)してしまったものをいいます。

脳梗塞は、詰まる血管の太さや詰まり方などによって以下の3つのタイプに分類されます。

・ラクナ梗塞(小梗塞)

脳に入っている太い血管は、次第に細い血管へと枝分かれしていますが、この細い血管が狭くなり詰まってしまうものです。

・アテローム血栓性脳梗塞(中梗塞)

動脈硬化(アテローム硬化)によって太い血管が狭くなり、血栓ができて血管が詰まるタイプです。

・心原性脳塞栓症(大梗塞)

心臓にできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰まらせるものです。


2)脳梗塞の6つの主な症状

脳梗塞の典型的な症状には、以下のようなものが考えられます。

・運動障害、感覚障害

左右片方だけの手や足が麻痺して動かなくなったり、痺れるような感覚障害が起こります。手足以外にも顔面の筋肉が片方だけ緩んだり、口角が下がってよだれが出たりする場合もあります。

・言語障害、失語症

ろれつが回らなくなったり、話したいのに言葉が出なくなったり、あるいは言葉が理解できなくなったりします。

・視野障害

視野の半分だけが欠ける、あるいはものが二重に見えたりします。

・平衡感覚障害

身体のバランスが取れず、ふらついたり、転倒したりします。めまいも起こし嘔吐する場合もあります。

・嚥下障害

口内の舌や喉に麻痺が起こり、食べ物がうまく飲み込めなくなることがあります。

・呼吸困難、意識障害

呼吸がしづらくなったり、通常とは異なる言動や行動などが起こります。


3)脳梗塞の原因

(1)脳梗塞の5つの危険因子

脳梗塞は、いわゆる「危険因子」を持った人に起こりやすいといわれています。この危険因子としては下記の5つです。

高血圧

高脂血症

糖尿病

多血症

心臓病

などが挙げられます。

これらから、脳梗塞も「生活習慣病」の一つであると考えられています。

脳梗塞は、特に前触れもなく突然発症するという特徴があります。

したがって、日常からこれら脳梗塞の危険因子の有無のチェックを実施し、危険因子が発見された場合は、食事療法や運動療法、薬物療法などをもって治していくことが重要です。

(2)発症の2つの特徴

朝に発症しやすい

脳梗塞は朝、起床時に発症することが多いといわれています。

この理由としては、一般的に夜中は血圧が下がって血流が悪くなりやすいこと、そして朝方は血液中の水分が不足し、血液がドロドロの状態になっていることなどが挙げられます。

夏の時期に発症しやすい

また、多発する季節は夏季が多いともいわれます。

血液中の水分が不足して脱水状態となり、脳の血流がドロドロの状態となって詰まりやすくなることがその理由です。

特に炎天下のスポーツ時の水分不足などには留意する必要があります。

Doctor and surgeon reading notes


4)脳梗塞の4つの治療方法とは

脳梗塞の治療は内科的な薬物療法が主体となります。

脳外科の手術が急性期に有効なのは「小脳」という部分の大きな梗塞や、「大脳」全体が梗塞のためにパンパンに膨れあがり、生命の危険が生じている場合だけです。

設備の整った病院を早期に受診すれば、脳梗塞そのもので生命を落とす確率は10%以下となっています。

発症した人の約45%の人が完全に社会復帰していますが、そのほかの人は残念ながら何らかの後遺症が残る結果となっています。

以下に4つの治療方法を示します。

(1)経静脈血栓溶解療法(t-PA治療)

現在、最も有効とされている治療法です。t-PA(組織型プラスミノーゲン・アクティベータ)という薬剤を点滴で投与します。

約40%の人が症状がほとんどなくなる程度まで回復するといわれています。

(2)動脈内血栓溶解療法 

詰まっている血管の手前までカテーテルを入れ、「ウロキナーゼ」という血栓溶解薬を注入します。

「中大脳動脈」が詰まり、受診した際の症状があまり重篤ではなく、発症後6時間以内の人に有効とされています。

(3)血管内治療

t-PA治療の効果が認められない場合、あるいは行えない場合で、発症後8時間以内の人にカテーテルを使用して行う治療法です。

特に内頸動脈などの大きな血管が詰まった脳梗塞の場合、発症早期に行えば治療効果が高いといわれています。

(4)抗血栓療法

動脈硬化が原因で起こる脳梗塞では、抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)や抗トロンビン薬(アルガトロバン)を投与します。

そして、心房細動などの心臓病が原因で起きた脳梗塞では、抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリン、ダビガトランなど)を早期から投与して症状の進行や再発を防ぎます。


5)脳梗塞の5つの予防方法

上述のとおり、脳梗塞のおもな危険因子は「高血圧」、「高脂血症」、「糖尿病」などが挙げられますが、この中でも最大の危険因子は「高血圧」です。

通常、少々血圧が高くても日常生活には支障がないため、なかなか生活習慣を改善したり、積極的に治療を受けようということには至らないかと思われます。

しかし、脳梗塞を含む脳の血管障害はいつ起こるかわかりません。したがって、少しずつでも以下のような予防策を講じることが必要です。

(1)塩分を控えめにする。 

(2)禁酒禁煙を心がける。

(3)適正体重となるよう腹八分目を心がける。

(4)日常的に適度な運動を行う。

(5)ストレスをためないようにする


   


今回のまとめ

1)脳梗塞とは、何らかの原因で脳の血管が詰まったり、血流が低下して起こる病気であり、そのタイプには「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」がある。

2)脳梗塞の典型的な症状としては、「言語障害」や「視野障害」、「平衡感覚障害」、「嚥下障害」などが挙げられる。

3)脳梗塞は、「高血圧」や「高脂血症」、「糖尿病」などの危険因子を持つ人に起こりやすいため、「生活習慣病」の一つといわれている。

4)脳梗塞の治療は内科的な薬物治療が主体であり、「経静脈血栓溶解療法」、「動脈内血栓溶解療法」、「血管内治療」、「抗血栓療法」の4つがある。

5)脳梗塞の最大の危険因子は高血圧であるため、日常的に塩分を控えたり、適度な運動を行ったりすることが必要である。