カルテで患者に伝える女性ドクター

みなさんはレビー小体型認知症というのを聞いたことがありますか。実はこの病気、認知症をおこす原因の中で20%を占めています。

それでは、レビー小体型認知症とはどんな病気で、どのような症状がでるのでしょうか。今回はレビー小体型認知症について、ご紹介いたします。


   


レビー小体型認知症の7つの症状!対処法とは


1)レビー小体型認知症の2つのタイプ

この病気は1997年精神科医の小坂憲司医師により症例発表され、世界に知られるようになりました。この病気は、大脳皮質や脳幹にレビー小体と呼ばれるタンパク質が脳内にたまり、神経細胞が変性して死んでしまい、認知機能の低下などが現れます。

レビー小体が大脳皮質にたまると認知症、脳幹にたまるとパーキンソン病を発症します。そのため、レビー小体型認知症ではパーキンソン症状と認知機能障害が現れます。

レビー小体型認知症とパーキンソン病、認知症はレビー小体が原因で起こる病気のため、総称してレビー小体病」と呼ばれることもあります。

なお、レビー小体型認知症には2つのタイプが存在します。

(1)通常型

初老期から老年期に認知症を伴い発症します。初期は物忘れと、子供や虫が見えると訴える幻視と、柱が人に見えるという錯視が特徴です。初期には、自分がおかしい、と認識しています。

やがて筋肉のこわばりや動きが少なくなる運動神経症状、便秘や尿失禁、血圧の調整障害といった自律神経症状が現れます。

(2)純粋型

40代以下でも発症することがあります。パーキンソン病の症状がでて、知的機能が低下するという進み方をします。

このタイプは、男性が発病することが多く、なだらかに進行します。機能低下は全体におこり、パーキンソン症状が強く出ます。初期はもの忘れを自覚しており、人格も保たれていますが、被害妄想が起きやすいようです。画像診断では脳の委縮は軽いという特徴があります。

レビー小体型認知症は、うつ病やアルツハイマー型認知症と誤診されることが多くあります。


2)レビー小体型認知症7つの症状

前途したようにレビー小体型認知症は2つのタイプにより、現れる症状は異なります。

また、個人差も大きいという特徴があります。ここでは代表的な症状を紹介いたします。

(1)幻視

小動物、人が動きを伴って鮮明に見える。水に関するものが見えることもある。

(2)パーキンソン症状

手足が小刻みに震え、筋肉が固くなって動きが悪くなる運動障害。

(3)認知機能の変動

頭がはっきりした状態とぼーっとした状態の波が激しく入れ替わる。記憶力が冴えている時と、ぐったりしてウトウトして動かない時間が繰り返しておこる。

(4)レム睡眠行動障害

大声で寝言を言う。悪夢で身体を激しく動かす。発症の20~30年前から前駆症状として出る場合がある。

(5)うつ症状

抗うつ剤が効かないことが多い。

(6)薬に対する過敏性

抗精神薬への反応が過敏。

(7)自律神経症状

起立性低血圧、排尿障害、よだれ、浮腫など。

Doctor shaking hands to patient


3)レビー小体型認知症7つの対処法

ここでは2)で紹介した代表的な症状の対処法を紹介いたします。

(1)幻視

否定せず追い払う動作をして、いなくなったと落ち着かせる。

(2)転倒防止

段差をなくす、夜間に足元の照明をつける、慣れた環境を維持。離床マットやセンサーを活用して、ベッドから降りたら介助する。

(3)認知機能障害精神症状

否定せず、安心感を与えるようにする。認知機能は保たれているので、プライドを傷つけないようにする。

(4)レム睡眠行動障害

眠りが浅いとベッドから落ちる程激しく動いたり、側にいる人を叩いたりする。その時は部屋を明るくしたり、音を出して目が覚めるように促す。

(5)うつ症状

「病気だから、治療すれば良くなる。」と安心させましょう。安定剤の処方で改善します。

(6)薬に対する過敏性

治療は精神症状には抗精神薬、運動症状は抗パーキンソン病薬、自律神経症状には血圧の薬を投与して症状をコントロールします。

ただし、処方された薬がなかなか合わないことが起こりやすい病気です。少量から注意深く投与していくのが原則です。そのためには経験豊富な専門医に診てもらう必要があります。

家族は効果と副作用をしっかりと理解したうえで、日々の観察と記録を行い、医師と相談して適量を探っていきます。

(7)自律神経症状

弾性ストッキングをはかせると効果が有ります。失禁症状がでたら、穏やかな顔で「病気のせいだから気にしないで」「だいじょうぶ。だれでも失敗するから」と、本人のショックを軽減させます。

オムツが必要な症状の場合は、泌尿器科の医師や地域包括センター、介護用品店の専門家に相談して、本人の状態に合ったオムツとつけ方を教えてもらいましょう。

最後に、レビー小体型認知症の患者は人格が保たれています。患者は認知機能が低下していくことに、抵抗もあるでしょう。

家族の方は自尊心を傷つけないように配慮する必要があります。

そのためには、「嫌だ」「なんで」「ダメ」など否定的な言葉を使い続けると、患者の気持ちが落ち込み、うつ症状が悪化することで、認知機能の低下を進めることがあります。

難しいかも知れませんが、患者に接するときには前向きな言葉をかけ、患者が安心できるような空間を作るように心がけましょう。


   


今回のまとめ

1)レビー小体型認知症とは「通常型」と「純粋型」がある

2)レビー小体型認知症の症状はタイプにより異なる

3)レビー小体型認知症の対処法は経験豊富な医師にみてもらうこ