聴診器で診察をする医師

「風邪かな?」と思う程度であっても、咳と痰が何日たっても、あるいは何週間たっても治らないことがあります。

病院へ行くほどではないとは思っても、心配ですよね。昔から「命につながる病気」と言われる咳と痰なので、その原因・症状・病気の可能性・対処方法などをご紹介します。


   


咳と痰が止まらない5大原因!対処・治療方法とは


1)咳と痰が止まらない場合の5つの症状

(1)空咳(からせき)から始まり、痰が絡んだ咳へと変化する

最初は「ケホケホ」「コンコン」というような乾いた咳から始まり、徐々に「ゲホゲホ」と肺や気管支のあたりが何かを押し出そうとしている咳に変わります。

これは炎症の程度を示すものと言えます。特に後者の「ゲホゲホ」というタイプの咳は、肺や気管支に絡まった痰を出そうとするサインです。

これがひどくなると、「ガラガラ」という感覚を伴う咳に変化します。   

(2)気管支の入り口がムズムズするような違和感を伴うもの

本来は呼吸をする際に感じないはずの違和感や、何もしなくても喉元のあたりがムズムズするという感覚があります。

これは、気管支と喉が「咳をすることによって、細菌を排出したがっている」というサインになります。この時に、口を閉じたままで「んんっ」と喉元を鳴らすように咳を軽くすると、痰が出てきます。

(3)くしゃみと鼻水が止まらない

鼻炎や花粉症の場合、鼻からの過剰な分泌物が喉へと流れてくることによって喉が荒れることがあります。

そのため、喉の痛みが発生したり、そこから気管支の入り口に炎症が発生したりすることで咳が出るようになります。

(4)頭痛・胸・背中などの痛み

咳が長く続くと、痰を排出しようと激しく咳き込むため、その衝撃が神経と筋肉を通じて頭や胸、背中へと伝わります。

それが何度も起こることで、頭や胸、背中にも痛みが生じるようになります。あまりひどいと、特に肋骨にひびが入ってしまうこともあります。

(5)吃音(きつおん)

いわゆる「どもり」です。子供のころに起こる吃音は、「叱られないように」「友達と仲良くしなきゃ」という極度の緊張から生まれる強いストレスが原因で起こるとされています。

そのために無意識のうちに「話すこと」に重要な声帯を閉じようとすることで摩擦が発生し、吃音となってしまうことが挙げられています。

このような心因性のものではない吃音は、喉が炎症を起こしている際に空気を吸うことで発生します。話そうとして口をあけると、喉に空気が触れます。

その時に起こる喉のイガイガとした拒絶反応が声帯を閉じてしまうのです。特徴としては喉の奥が「ヒュッ」となって発生が止まってしまうようなものがあります。

いわゆる「呼吸が浅くなる」という感覚です。この現象は、大人でも子供でも発生します。

2)咳と痰が止まらない5大原因

(1)喉の使いすぎ

特に仕事柄人前でよく話をする人や、歌を歌うなどを趣味や仕事にする人に起こりやすいタイプです。これは、喉を酷使することで喉の免疫力が低下し、喉の粘膜や気管支に炎症が起こります。

(2)喉・気管支の乾燥

上記(1)のタイプに当てはまらない人でも、水分不足によって喉や気管支に炎症が起こることがあります。「喉が渇いた」と感じない時でも、実は体内の水分が不足していることがあります。

長時間水分を取らずに過ごすことが多い人に起こりやすい原因です。

(3)風邪などのウィルス

風邪の他、気管支炎や結核の場合は、空気中のウィルスの感染で発症することがあります。くしゃみや鼻水の症状が伴わない場合は、ウィルス性気管支炎の可能性が考えられます。

(4)喘息(ぜんそく)

子供の頃は体そのものが整いきっていないため、咳は非常に健康状態の異常を表すサインになります。

「小児喘息(しょうにぜんそく)」であれば、咳や痰の排出そのものに大きなエネルギーを使うことになるので、呼吸困難や体力の消耗が危ぶまれます。

早めに病院での受診、治療を受けましょう。多くの場合は大人になってから免疫力が付くために改善されますが、大人になってからも小児喘息の名残で気管支に炎症が出やすい人もいます。

「いつものことだ」と放っておかずに、病院で適切な投薬治療を受けることが望まれます。  

(5)汚れた空気を吸うことでのアレルギー炎症

花粉や黄砂、PM2.5などの空中に散乱する微粒子を吸い込むことによって、肺や気管支にアレルギー反応が起こります。

花粉の場合は、いわゆる「花粉症」になります。スギやヒノキなどの春先に限らず、イネは夏から秋、ブタクサなどの植物の種類によっては1年を通してアレルギーを起こさせるものがあります。

厄介なのが、化学物質が多量に含まれるPM2.5です。花粉のような自然界に存在する微粒子ではないので、抵抗できる免疫力が体に備わっていないのです。

これらは咳や痰のほかに、発熱や頭痛、全身のけだるさや喉の痛み、くしゃみや鼻水などを生じる場合が多いと言えます。    

花粉症は抗アレルギー薬での治療ができますが、PM2.5の場合は同じ薬では解消しきれないとされています。

Doctor showing xray to his patient

3)咳と痰が止まらない場合への4つの対処法

(1)うがいをこまめに実行する

とにかく喉を清潔な状態にする必要があります。外出先から帰宅した時はもちろんですが、家にいる時でも喉に違和感がある場合や、外出先で空気が汚れている場合、咳をしている人が何人かいる場所では、お手洗いでうがいをすることをおすすめします。

(2)水分補給で喉を保湿

ミネラルウォーターでも大丈夫ですが、スポーツドリンクも体内に足りない成分を補ってくれるのでおすすめです。

また、はちみつを混ぜたぬるめのお湯も喉を保湿してくれます。

(3)痰は必ず外へ出す

よく外出先などで、痰を飲み込んでしまう人がいます。

痰は喉や気管支のウィルスの死骸にあたるのですが、清潔なものではないため、そこから新たなウィルスが生まれないとも限りません。

必ずティッシュを携帯し、外へとすっきり吐き出しましょう。ここで大切なのは、痰の様子です。

痰の色は現在の炎症状態のサインになるので、もしも血液が混じっているようであれば肺に炎症が起きている可能性もあるため、早めに病院へ行きましょう。

(4)マスクの着用

自分がウィルスを保有していてもしていなくても、喉や気管支が弱っていることは確かです。そこへウィルスをもらえば症状は悪化しますし、周囲への気遣いにもなります。

また、喉を保護することによって、喉や気管支への保湿効果も高まります。

 4)咳と痰が止まらない場合に考えられる3つの病気

(1)マイコプラズマ肺炎

「マイコプラズマ」というウィルスからくる肺炎の一種です。「体の節々が痛む」「37度前後の微熱が続く」という状態が続きます。

発症するまでの潜伏期間が約2週間と長めなので、初期段階ではわかりづらい病気です。子供にかかりやすいとされていますが、大人でもかかります。

また、子供のころに一度かかったことがある場合でも、体内での免疫抗体が消えてしまい、何度かかかってしまう場合もある病気です。

特に子供の場合は中耳炎との合併症が起こる可能性があり、頭痛を併せ持つこともあります。  

(2)百日咳

かつては太平洋戦争時下や、直後の栄養不足状態の時代に起こりやすい子供の病気でした。しかし、現代でも大人、子供の区別なく起こっている病気で、日本以外にもアメリカなどの海外にも発生しています。

確かに昔に比べると食物も栄養も豊富な時代になりましたが、忙しい現代人の食生活はバランスを失いがちで、生活リズムも不規則になりがちです。

それが免疫力の低下を招き、特に一番にウィルスを招き入れやすい気管支に炎症が起こり、ウィルスが住みついてしまいます。

この病気によって出る咳は「発作性けいれん性咳そう」と呼ばれ、「短めの咳が連続して出て、急に息を吸い込むとヒューヒューと音がする」という特徴が現れます。

こうした咳と呼吸状態が繰り返されると、百日咳の可能性が高まります。これは本当に病名のとおりに咳や痰が一か月たっても止まらず、大人でも体力を非常に消耗します。

そのため、ほかの病気にかかる確率も高くなってしまいます。特に乳幼児には恐ろしい病気となり、肺炎や脳症を併発する可能性があります。

(3)肺結核

これも昔の栄養不足の時代に起こりやすかった肺の病気で、特に明治時代以降の有名人の中には、この病気が原因で命を落とした人も多数います。

「一度かかったら最後」とされた病気でしたが、現代医療の進歩により「ストレプトマイシン」などの結核ウィルスに対抗する抗生剤が開発されるなど、治療が可能な病気となっています。

結核のウィルス「結核菌」は空気中の感染で広がります。この「結核菌」は全身に感染して増殖しますが、特に肺への感染が多く存在します。

そのため、病院での診察で「結核」と診断された場合は、ただちに入院をし、外部との接触を極力避ける治療が必要になります。

Doctor shaking hands to patient

 5)咳と痰が止まらない症状への4つの検査方法

内科や小児科、呼吸器科、耳鼻咽喉科での検査になります。乳幼児の場合は費用が大人と異なりますので、病院への確認が必要です。

(1)感染症検査(抗体検査)

診療所でも行う簡単な検査であれば、長めのアイスクリーム棒のようなキットで唾液や喉の奥の粘液を採取し、そこに潜むウィルスの反応を確認します。

病院で行う本格的な抗体検査であれば、項目数によってはもう少し高い費用になるので、病院で確認をするとよいでしょう。

(2)血液検査

上記の抗体検査と併せて行われるのが血液検査です。百日咳のように、感染症検査ではわかりにくい病気の場合に行われます。

費用としては保険適用内で約1000円から3000円と見ておくとよいでしょう。

(3)レントゲン

肺の状態をエックス線撮影の画像によって確認します。ウィルスによる炎症が確認できる他、咳が長期間に渡って続いている場合は骨への影響の有無を確認することができます。

所要時間は、撮影自体は5分程度で終了します。費用は保険適用内で約3000円程度になります。  

(4)喀痰検査

痰を調べる検査です。採取した痰に潜む細菌を顕微鏡で調べたり、細胞の様子を観察したりすることで、どの細菌を持っているのかを判断します。 

病院によっては健康診断のオプションで1000円程度の費用になりますが、保険適用外となっています。健康診断ではない検査となると、病院によっては数千円になることが多いようです。

 6)咳と痰が止まらない症状への2つの治療方法

子供であれば小児科、大人であれば内科、呼吸器科での受診治療になります。咳を抑えるために喉や気管支の炎症を抑える投薬治療がメインになります。

(1)抗生物質の投薬治療

長引く咳の場合は、普通の風邪薬では効き目がとても薄いので、ウィルスを倒す抗生物質を処方することになります。

種類も一つではなく、「3日間連続して飲むもの」や「毎食後に飲むもの」など、複数が処方されることが多いです。

そのため、費用は通常の投薬代よりも高くなります。薬によって異なりますが、2種類5日分の保険適用内として約2000円以上と見込まれます。

(2)ステロイド吸入による投薬治療

喉や気管支へ薬の効果を行き渡らせるために、抗炎症作用のステロイド剤を噴霧状にして吸入するという治療法があります。

処方される吸入薬としては「キュバール」や「メプチンエアー」が有名です。費用としては保険適用内で約1000円から1500円程度になります。

Doctors who have medical records and doctors have a tablet

7)咳と痰へ日常からできる4つの予防習慣とは

(1)こまめな手洗いうがいを

(2)周りに患者がいる場合や季節に応じてマスクの着用を

これら2つは、日ごろからぜひ心がけたいことです。対処法と同じですが、やはり口腔内や喉を清潔に保つことがウィルス感染を防ぐ近道になります。

(3)バランスのよい食生活を

ウィルスのターゲットは体の弱い人ばかりではなく、「体が弱っている人」でもあります。

特に不規則な生活や、偏った食生活を送りがちな人はビタミンやミネラル不足に陥り、体の免疫力が衰えてしまいます。

(4)アルコール類、たばこの摂取に要注意

お酒を飲む人に起こりやすい「酒やけの声枯れ」は、喉がアルコールの刺激から弱ってしまうために起こることです。

また、喫煙は明らかに肺への負担が大きくなります。バランスの良い食生活を送っていても、喫煙によってビタミンが破壊されてしまう人も大勢います。

くれぐれも「飲みすぎ」「吸いすぎ」には注意しましょう。自信のない人は、病院で実施している健康指導「禁酒・禁煙プログラム」を受けてみるのもお勧めです。


   


今回のまとめ

 1)咳と痰が止まらない場合の5つの症状 

 2)咳と痰が止まらない5大原因

 3)咳と痰が止まらない場合への4つの対処法

 4)咳と痰が止まらない場合に考えられる3つの病気

 5)咳と痰が止まらない症状への4つの検査方法

 6)咳と痰が止まらない症状への2つの治療方法

 7)咳と痰へ日常からできる4つの予防習慣とは