手術を行う医者

水頭症は髄液がたまる病気で、日本では年間に40万人以上の人が発症すると統計されています。水頭症にも幾つかの種類があり、手術療法にはシャント手術が考えられます。

今回は水頭症へのシャント手術のステップ、考えられるリスクや効能、注意点などをご紹介していきます。


   


水頭症シャント手術の9ステップ!リスクと効能


1)水頭症とはどのような病気か

脳全体を覆うようにあり、脳を守る保護液の役割を果たしている脳脊髄液が、何らかの原因で脳内にある脳室に多く溜まってしまうことにより発症します。脳室の拡大で脳自体が圧迫を受けてしまう、または頭蓋内での圧が高くなってしまうことを水頭症といいます。

2)水頭症の初期・中期・末期の症状とは

水頭症の症状は、おおきく非交通性水頭症と交通性水頭症に分かれます。

(1)非交通性水頭症

非交通性水頭症は主に小児の頃に発症することが多く頭蓋内圧が高くなります。乳幼児の頃であれば頭蓋骨の縫合が未完成なので、脳室が拡大すると頭囲が大きくなっていくため早期の病院受診等での治療が大切です。

乳幼児以降になると頭蓋骨の縫合が完成されるため、頭囲が大きくなることはありません。頭囲の拡大以外の非行通性水頭症の症状は頭痛・吐き気・意識障害の為、小児はこういった症状を正確に伝えることができません。ぐったりしている・泣き方がいつもと違うなどの症状がみられるようでしたら早期に医療機関に相談し適切な処置を受けましょう。

(2)交通性水頭症

交通性水頭症は成人・高齢者に多くみられます。非交通性水頭症と違い頭蓋内圧が正常値であることが多いので症状でみると足が上がらない、歩幅が小刻みで不安定な歩行障害や意識が虚ろで反応が遅くなり、記憶力が低下してしまう認知症、尿失禁などの症状が出てきます。

交通性水頭症は、脳腫瘍や頭部への外傷などに続いて発症する続発性正常圧水頭症と、原因の分からない突発性正常圧水頭症の2つに分かれます。突発性正常圧水頭症は何かの病気に続いて出るといったことなどが分からないので、症状の発見が遅れる可能性があり注意が必要です。

水頭症は放置すると症状が強くなることがあり寝たきり等、日常生活に問題を生じます。また、症状が進行してから水頭症の治療を開始すると、手術等しても症状があまり改善されないといったことがあります。


3)水頭症の3つの原因とは

水頭症は、脳脊髄液の循環の障害が原因なので、その循環の障害の場所により3つに分かれます。

(1)脳脊髄液の産出が多すぎるため

(2)脳脊髄液の流れが妨げられているため

(3)脳脊髄液の吸収が阻害されているため

Doctor of two people to make sure the tablet

4)水頭症の疑いがあると思ったらすべきこと

水頭症の疑いは乳幼児であれば頭囲の拡大により、見た目で分かる場合もあります。

しかしその他の症状で出現する頭痛・吐き気・意識障害・歩行障害等の症状では様々な病気について詳しくないと、どんな病気かというのは判断できません。

水頭症の疑いがあると思うようなら脳神経外科のある病院に相談に行きましょう。

5)水頭症への2つの検査方法とは

(1)CT・MRI

水頭症の検査方法はCT・MRIがある医療機関にて断層撮影してもらえば、脳脊髄液が溜まることによる脳室の拡大の程度を診ることで水頭症を診断してもらえます。

また、水頭症の原因である脳脊髄液の循環の障害の場所も把握することができるので、適切な治療法を受けるうえで重要な情報になります。

(2)髄液排除試験・頭蓋内圧モニタリング

ただ、緩やかに進行する水頭症や正常圧水頭症の場合、脳が萎縮することにより脳室が拡大するものと水頭症との見分けの必要がある為、さらに髄液排除試験や頭蓋内圧モニタリングなどの追加検査が必要です。

6)水頭症へのシャント手術の9つのステップ

まず水頭症でシャント手術が行う場合、患者本人やその家族に手術の方法・効果・リスク等について説明を行なってから同意書をもらう必要があります。

それでは、シャント手術の脳室腹腔シャント術の流れを書いていきます。

(1)病院にて画像診断を行ない水頭症だと診断されると、タップテストを行ないます。

タップテスト:細い針を脊髄腔に刺して過剰に溜まっている髄液10ml~30mlをゆっくりと抜いていきます(腰椎穿刺)。

この検査にて、症状が改善され陽性と判定されれば手術で症状が改善されると期待できる

(2)感染症を防ぐため頭髪の一部を剃り、頭と体を特殊な石鹸で洗浄を行ないます。また、手術中の無菌の状態を保つためにも患者さんに滅菌済みのリネンカバーが掛けられます。

その後、脳神経外科の医療チームにより全身麻酔にて通常数時間の手術が行われます。

(3)手術内容の流れについては、まず頭皮を小さく切り開きそこの頭蓋骨に小さな穴を開けます。

(4)その穴から脳を保護している膜に小さな開口部を開けて側脳室にカテーテルを留置できるようにします。

(5)次にシャントバルブを留置するために、耳の後ろか上に2,3カ所小さく切り開きます。

(6)カテーテルを皮下に通していきます。

(7)流出液を受け入れる腹腔等の適切な空間に、カテーテルの端を慎重に留置します。

(8)手術が終わった後は、各切開部に滅菌ドレープを貼ります。

(9)手術後は麻酔回復室に入り、約数時間は厳重な監視でその後は病室に移ります。その後は、臨床的な経過に応じて退院します。

手術方法は状況により異なります

上記に書いたのが、脳室腹腔シャント術をするにあたっての一般的な手順ですが“病院・担当の脳神経外科医・個別治療の必要性により、患者さん毎に手術方法・手順・時間が異なります。”

費用に関しては入院期間および病院により変わってきますが平均の総医療費は約100万かかるそうで、そこから患者本人の年齢等により1割か3割負担で費用は変わってきます。

期待できる効果

シャント手術により期待できる効果としては脳室にカテーテルを通して髄液の量が調節されることにより、水頭症の症状が抑えられ、手術前より症状が改善される可能性があるといった効果が期待できます。

シャント手術の注意点

注意点は、シャント手術の専門は脳神経外科なので脳神経外科のある病院で診察してもらい、医者等からの説明により患者本人がシャント手術に対してリスク等、十分に納得し信頼して任せることができる病院を見つけましょう。

The doctor has to fill out a medical record

7)シャント手術の2つのリスクとは

シャント術後のリスクとして、体内にカテーテル等の異物を入れるため合併症が生じます。それでは代表的な合併症である2つを書いていきます。

(1)シャント感染

シャント感染の症状は食欲不振・易刺激性が出ます。

また、前触れ症状として軽度の発熱、血液検査で体内に炎症の程度を判定するのに用いられるCRP上昇がみられます。

シャント感染で原因となるのが、皮膚の常在菌である表皮ブドウ球菌が原因菌の60%を占めており、感染が認められたら治療の為すぐにシャントの除去、外ドレナージ、抗生物質が使用されます。

感染症の消退を確認した後、新しいシャントを設置し、外ドレナージを抜去します。

(2)シャント閉塞

手術後1年以内に発症することが多く、年少の患者によくみられる合併症です。

症状としては年長児では頭蓋内亢進症状によるめまいや頭痛などが出ます、乳児では易性刺激、食欲低下、頭囲拡大、睡眠障害が出てきます。

原因となるのはシャントバルブの機械的閉塞、脈絡叢や残骸による脳室カテーテルの閉塞、成長による腹腔チューブの逸脱などです。

シャント閉塞が発症した場合、原因であるバルブやカテーテルの交換する手術を行ないます。

8)手術後はどうなる?シャント手術後の予後

(1)定期検診

シャント手術後は、シャントが正常の状態を保つためにも担当の医療チームの勧めるスケジュールに沿って定期検診を受けることが重要です。

またシャントシステムがちゃんと機能していれば脳機能が回復し症状も改善される可能性があります。

(2)リハビリ

リハビリに関しては手術後に歩行障害が改善される可能性があるので、“散歩”というリハビリをすることにより身体機能の向上・脳への刺激になります。

ただし、歩行障害が改善されたからといって転倒の危険は無くならないので、外出時には付き添いが必要で、室内においても躓かないように足元等の環境整備も大切です。

9)何よりも早期発見!水頭症への予防ポイント

普段の生活において、頭部に外傷及び脳血管障害を発症した後に寝たきり、または認知症になった場合は正常圧水頭症の可能性があるので病院にて早期検査してもらいましょう。

早期の水頭症の治療により寝たきり等が改善される可能性があります。


   


今回のまとめ

1)水頭症は脳幹髄液が脳を圧迫することで発症する病気です。

2)放置していると意識障害・歩行障害等を発症し、寝たきりになるなど悪化してしまう可能性があるので早期の治療が大切です。

3)水頭症の原因は脳幹髄液の循環の障害によりおこります。

4)乳幼児であれば頭囲の拡大それ以降の年齢であれば、頭痛、吐き気、意識障害、歩行障害等のあやしい症状があるようなら病院にて検査をしましょう。

5)CT・MRIにて検査し脳神経外科の医師に診断してもらえば、水頭症の有無及び髄液の障害の場所も診断し適切な処置をしてもらえます。

6)水頭症のシャント手術のステップとしては、手術前にタップテスト等の検査を行ない医師がシャント手術の有効性を判断してから、手術を行ないます。

患者さん本人は、シャント手術に関して病院等から説明を受けてちゃんと納得し信頼できる病院に処置してもらいましょう。

7)シャント手術は脳幹髄液の量などを、カテーテル等を通して調節するものなので、そこからの感染症やシャント自体の閉塞などといった合併症のリスクがあります。

8)シャント手術後は定期検診が重要です。また歩行障害が改善されるようなら、散歩等のリハビリにて機能回復を促します。

9)予防としては、頭部外傷等により寝たきり・認知症の症状があれば水頭症の検査をして水頭症の治療をすれば症状が改善する可能性があります。