Stethoscope in hands

発達障害の1つであるチック症は軽度のものを含めると100万人近くの人が発症していると考えられています。

チック症には2種類あり、今回はこのチック症の大人・子供それぞれの原因と、対処法、治療法などをお伝えしていきます。


   


チック症の4つの原因!子供と大人の違いとは


1)チック症とはどんな病気か

(1)チック症の症状

チックとは、ぴくん、ぴくぴくというような突如として起こる滑らかで素早い反復する運動のことです。この運動に声に関わる筋肉の動きが加われば動きと同じような特徴の発声となります。

(2)チックの考えられる原因

かつては心因性とものであると考えられていました。しかしこの動きは、意図的に動かしているわけではありません。動かすつもりがなく動かしてしまいます。

若干であるが医師による動きを抑えることができます。

しかし過度に動きを抑えると反動が起こり症状が激しくなることがあります。また意思によって動きをおさえることができるため気持ちの持ち方によっては、抑えることができると考えられることがありましたが、実際はできません。


2)チック症の4つの種類とは

(1)症状からの分類

チック症は大きく分けると運動チックと音声チックに分けられます。運動チックは、単純チックと複雑チックに分けられます。音声チックは、単純音声チックと複雑音声チックに分けられます。

2種類の運動チック

単純運動チック

もっとも多くみられるチックです。その中でもまばたきが一番多くみられる症状です。

動きが素早くまばたき、横目をする、白目をむくなど目の動きの症状がでるものと、口をゆがめる、鼻をひくひくさせるなどの症状をあらわす顔面を動かすチックについても多く発生します。

その他、肩をすくめる、首を引くなどの症状が出るものもあり単純運動チックに含まれます。

複雑運動チック

体のいろいろな部分を一緒に動かすチックのことです。具体的な症状としては、飛び跳ねる、顔の表情を変える、人や物に触る、匂いを嗅ぐ、たたくなどの症状があります。

ややゆっくりとしていて一見すると目的があるように見えます。

2種類の音声チック

単純発音チック

咳払い、こんこんと咳をする、豚のようにうなる、鼻をクンクンさせる、吠えるなどの単純なものです。

複雑音声チック

周囲の状況に合わない単語や語句を繰り替えす症状です。汚い言葉を言ってしまうコプロラリア、他の人の言葉を繰り返すエコラリア、自分の話した言葉を繰り返すバリラリアがあります。

(2)発症の仕方による分類

チック症の区分

発症の仕方によっても区別されます。チックの症状が一日中頻回に起こる期間長さによって区別されます。一年以上かそうでないかによって一過性と慢性に分けられます。

慢性チック症は、運動性チック障害と音声チック障害、トゥレット症候群にさらに分けられます。一過性のチック障害とは、チック症状が1年未満のチック症と言います。

その中でチックの症状が音声、運動だけにチックがある場合、音声、運動の両方に症状がある場合があります。一過性症状は、6~7歳ごろによく発症します。

目をつぶったりぱちぱちさせたりして数カ月でなくなってしまいます。慢性運動性チックや慢性音声チックは運動か音声の片側の症状のみが1年以上続くことです。

これらは大人になっても見られる場合が、あります。

トゥレット症候群

運動、音声の両方チック症状が現れ、1年以上続く場合は、トゥレット症候群とされています。


3)チック症が子どもで発症する原因

(1)チックを発症する要因

・生物学的要因

神経伝達物質であるドーパミンを抑える薬がチックの症状を抑え、ドーパミンの動きを高める薬によりチックの症状が促進される場合があります。

これはドーパミンを中心に神経伝達物質がアンバランスになっていることによって、チックが引きこおこされるのではないかと言われています。

・遺伝的要因

父親がチック症であればその子供もチック症である場合が多いです。

遺伝といっても遺伝病のようなものでなく、背が高い低い、髪の毛が黒い金色などおそらく複数の遺伝子が関わる素質のようなものではないかと言われています。

また遺伝的な関与がないと思われる場合もあります。

(2)発症のメカニズム

これまでは、心因性と考えられていましたが、現在においては、上記のような生物学的な基礎のある疾患であると考えられています。

また要因として遺伝的なことも関与しているではないかと考えられています。この生物学的な要因に心の状態によってチックの症状が引き出されると言われています。

チックになりやすい要因を持つ人が成長の段階で神経伝達物質がアンバランスになりやすい年頃になり、運動に関わる神経の動きに障害が起こりチックが発症しているのはないかと言われています。

Tired worker rests her head on the desk


4)チック症が大人で発症する原因

(1)チック症の多くは一過性

多くのチック症状は、一過性の障害です。1年以内に症状は出なくなります。慢性の場合では、10歳から10代半ばづぎたころが重い症状となります。

それ以降は、症状は快方に向かうことが多く、症状がなくなることも少なくありません。トゥレット症候群の場合でも90%以上の人が成人になるまでに軽くなったりなくなったりします。

(2)チック症の慢性化

しかし人数は少ないですが、成人まで重症なチックの症状が続いたり、成人後に再発する場合があります。

どのような条件であれば一過性障害が慢性化するのか、慢性化したうち成人後まで重症なチック症となるのか判明していません。


5)チック症の検査方法とは

(1)似た症状の確認

チック症の診断としては、まずチック症と類似した症状と区別する必要があります。チックと似た異常運動を示すのが、ミオクローヌス、バリスムがあります。

(2)臨床神経学的検査

臨床神経学的検査により、チックとの判別を行います。流血性連鎖球菌感染症もチック症とよく似た症状となります。

これらによりチック症と判断された場合は、先に述べたチック症型判定を行います。その結果症状に応じて適切な治療を行うことになります。


6)チック症の治療方法とは

(1)薬物治療

薬物治療が行われます。一般的には、ドーパミンD2受容体阻害剤(ハロペリドール、ビモジド)を使用します。

しかしその効果は一定していません。またその副作用としてドーパミン神経系の活性が抑制されます。特に小児に長期間使うと脳の発達に対する影響が考えられるので注意が必要となります。

(2)カウンセリング

チックは生物学的基礎の疾病があるところに環境要因が加わり発症する場合もあることから、親の厳しいしつけや、友人関係についてカウンセリングが行われますが、過保護になると情緒行動面で問題となることもあるので安易なカウンセリングはさけなければなりません。

group of happy doctors meeting at hospital office


7)チック症の治療後の予後とは

(1)10代後半がピーク

チックは通常6歳ごろに発症し、徐々に程度はひどくなり、種類も増え、10代前半にピークを迎え多くの場合は、10代後半に症状が軽減または、消失します。しかし一部では、その症状が続く場合があります。

初期の対応が不適切であった場合には10代後半の症状が残り併発症(例えば、強迫性障害(OCD))が成人年齢まで残ってしますことがあります。

(2)長期研究のデータはまだ確認できていない

なお単純チック症を長期研究追跡したデータはありません。多くの場合は、そのまま症状がなくなっていくのはないかと思われます。


8)チック症で本人と家族が大切にしたい心構え

(1)本人と一緒に問診しましょう

チックとは、どのようなものか、どうして起こるのか、どのように対するのか本人と家族を主とする関係する人が理解して受け入れることが重要となります。

診察としては、本人や家族がどのように思っているかを問診することから始めます。本人は症状に全く気が付いてないことが多く、なんとなくいやなもの程度に思っていることがあります。

(2)自己に責任をおかないようにしましょう

家族は、自分の責任だとか周囲から責められたりして良くない精神状態になることもあります。チックの原因は、育て方が悪かったり、本人の精神力が弱く発症したのでないということを理解します。

チックは、喘息などと同様に心の持ち方が症状を強める方向に影響を受けることがあっても原因ではありません。

その本人が持つ生物学的要因があり、医学的な問題であると理解します。例えば、背の高さとおなじような単なる特性であると理解して、チックの症状の変化に対して一喜一憂しない姿勢が必要です。


9)チック症への予防ポイント

(1)ストレスの解消

直接的な原因ではありませんが、やはりストレスがかかるとチックの症状は、強くなることはあります。

慢性チック障害やトィレット症候群についても思春期には悪化することもありますが、大人になると軽快し、自然に治癒することもあります。居心地のいい環境を整え、のびのびと育てることが必要です。

(2)周囲の関係者の対応

親が症状を気にしてイライラすると、本人もストレスがたまります。症状が悪くなることがあってもよくなることはありません。できる限り普通に接するようにします。

チック症状は、これまでは親の育て方が悪いなどと言われていましたが、現在はドーパミンを中心とした神経伝達物質のバランスが崩れることによって発症するものです。疾病を理解して適切な対応を取れるようにしましょう。


   


今回のまとめ

1)チック症とはどんな病気か

2)チック症の4つの種類とは

3)チック症が子どもで発症する原因

4)チック症が大人で発症する原因

5)チック症の検査方法とは

6)チック症の治療方法とは

7)チック症の治療後の予後とは

8)チック症で本人と家族が大切にしたい心構え

9)チック症への予防ポイント