頭全体が痛くなるのは、ほとんどの方が経験していると思いますが、耳の上だけがピンポイントで痛くなるのは滅多にない事だと思います。よって、この部位が痛み出すと、少し不安になってしまいませんか?
そこで今回は、耳の上が痛い原因や考えられる病気についてご紹介しきます。
目次
【解説】耳の上が痛い症状が?注意すべき3種類の原因とは
1)耳の上ってどうなっているの?構造とは?
耳の上には「頚椎(首の骨)の間から出ている小後頭神経」というものが存在します。この神経が何らかの影響で圧迫される事で、耳の上や耳の裏側に痛みが生じるのです。又、大後頭神経や大耳介神経という神経も頚髄から出ています。こちらも神経が圧迫される事で、耳の後ろ・後頭部・頭頂部等に痛みが生じるのです。
2)どんな症状が現れる?耳の上の痛みの代表的な症状とは
耳の上が痛いと感じる際の代表的な症状を記載していきます。
・電気が走るような一瞬の鋭い痛み
・痛みの間隔は数秒から数時間で、一度痛み出すと数日から数週間継続する
・痛みがない時でも、その部位に違和感やしびれがある
・常に同じ場所が痛くなる
・押すと非常に痛い場所がある
・痛み以外の症状はない
・頭皮の知覚過敏
耳の上に痛みを感じる場合は、これらの症状も一緒に出ていないかチェックしてみましょう。
3)痛みの原因って?耳の上が痛む3大原因とは
(1)心身のストレス
対人関係・仕事関係等による精神的なストレスや、体調不良・睡眠不足等による身体的なストレスの影響で筋肉の緊張が生じ、神経が圧迫されて耳の上の痛みに発展してしまいます。
(2)前かがみになるような姿勢をとる事が多い
間違った姿勢でのPC操作や、前かがみになる仕事等をしていると、頭の重みを頸の筋群が支えている事になります。これにより肩こりや首こりが生じ、筋肉が緊張して神経を圧迫してしまいますので、耳の上に痛みが発生するのです。
(3)低気圧
低気圧になると体にかかる圧力が減少し、全身の血管が膨張します。この膨張により神経が圧迫されて痛みが生じるのです。
4)試せる応急処置はあるの?痛みへの対処方法とは
対処法として有効なのが、「首元を温めて筋肉の緊張をほぐす」方法です。ホットタオルや入浴で首周りを温めてあげましょう。又、マッサージで筋肉をほぐすのも良いでしょう。
突然痛みが生じた際は、試してみて下さい。しかし、痛みが続く・痛みが酷い場合は、病院を受診する事をオススメします。痛みが酷いと日常生活に支障をきたしてしまいますので、医師の指示に従って治療していきましょう。
5)病気の可能性はある?病気かどうかのチェック項目と判断基準
耳の上や耳の後ろが痛い場合、「後頭神経痛という病気の可能性が高い」です。この後頭神経痛には、国際頭痛分類第3版β版に診断基準が提示されていますので、下記でご紹介していきます。ぜひ一度チェックしてみて下さい。
(1)判断基準A
片側又は両側の痛みで、基準B~Eを全て満たす
(2)判断基準B
痛みの範囲は大後頭神経・小後頭神経・第3後頭神経のどれか一つ以上の支配域と一致する
(3)判断基準C
痛みの特徴が以下3点の内2点以上を満たす
・数秒から数分続く痛みの発作を繰り返す
・激痛
・ズキンとする痛み、刺すような痛み、鋭い痛み
(4)判断基準D
痛みは下記の両方に当てはまる
・頭皮又は頭髪を刺激すると、異常感覚やアロディニア(疼痛)が出現する
・障害された神経枝の圧痛があるか、トリガーポイント(大後頭神経の出口部又は後頭部上部)がある
(5)判断基準E
痛みは局所麻酔によるブロックで一時的に改善する
(6)判断基準F
他に適切な診断がない
6)症状が続く場合は注意!考えられる4種類の病気とは
(1)帯状疱疹
水ぶくれ等の皮疹がある場合は、帯状疱疹や単純疱疹(単純ヘルペス)の疑いが強くなります。頭皮をしっかりチェックし、この疾患でないか確認してみましょう。
(2)脳腫瘍(後頭蓋下腫瘍)・くも膜下出血・変形性頚椎症
これらの病気が潜んでいると、後頭部や耳の周りの痛みが生じますので、神経の痛みと区別する必要があります。その際は病院を受診し、レントゲン・CT検査・MRI検査等を受けましょう。
7)治まらない場合は専門家へ!耳の上が痛い症状への検査・治療方法
(1)検査方法
問診だけでははっきりと病名を確定できません。上記で記載した脳腫瘍や変形性頚椎症の可能性もありますので、まずはCTやMRIで脳の異常がないかチェックします。そして異常がなかったら、耳の後ろから首の付け根にかけて、触診が行われるでしょう。これにより後頭神経痛かどうかの診断が下されます。
(2)治療方法
神経内科やペインクリニックが後頭神経痛の治療を専門としています。普通の内科では原因不明とされてしまった場合は、神経内科やペインクリニックを受診しましょう。
治療には薬が用いられ、神経痛に効く鎮痛剤・局所麻酔による神経ブロック・神経痛に効く抗てんかん薬等で治療していきます。医師の指示に従い、治療を進めていきましょう。
8)生活習慣を改善しよう!症状へ実践したい予防習慣とは?
予防習慣として最も大切なのが、正しい姿勢をとる事です。間違った姿勢でデスクワークをしたり前かがみになる事で、首の筋肉が凝り固まってしまいます。
なるべく筋肉の負担を軽減する為に、正しい姿勢を心掛けましょう。又、規則正しい生活やストレスを溜め込まないようにするのも予防習慣として必要な事です。不規則な生活が続くと心身のストレスに繋がりますので、今一度あなたの普段の生活を見直してみましょう。
そして、対人関係や仕事・勉強等で強いストレスを感じているのなら、ストレス発散する事を心掛けて下さい。親しい友人とお話ししたり、ハイキング等で体を動かすのもオススメです。これらを普段の生活に取り入れて、嫌な痛みを予防しましょう。
まとめ
1)後頭部から耳の周りにかけて、大後頭神経・小後頭神経・大耳介神経が通っており、これらの部位が痛む事を後頭神経痛と言う
2)後頭神経痛が生じる原因として、心身のストレス・誤った姿勢・低気圧等が挙げられる
3)応急処置として、首周りを温めて筋肉の緊張をほぐす方法が有効である
4)症状が続く場合は、脳腫瘍・くも膜下出血・変形性頚椎症等の疑いもあるので、病院できちんと検査してもらう
5)後頭神経痛の治療には神経内科やペインクリニックを受診する
6)後頭神経痛の予防には、規則正しい生活・ストレス発散・正しい姿勢を心掛ける
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